毒入り堪忍袋
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ところで、旅館には破ってはならない3つの袋というのがあるのは有名だろう。おふくろの手袋巡査、羊羹を洋館にて8日間でよう噛んで食べるふくろう、そしておふくろの味。
私、ニワケサは懺悔する。そしてざんざんざんざざ懺悔する。
私は書こう、私の失望、マザー・テレサ、100ページに渡る世間、そして私の罪と罰……
「どうぞ、リモコンの焼きマヨ和えです」
兄夫婦の経営する旅館から厨房とリモコンを借りて、私は生まれて初めてリモコン料理を人に振る舞った。
その相手はド変態 ドヘオ。唯一と言っていい私の趣味の理解者だ。
彼とはネットを介して知り合った仲だが、顔を合わせるのは今日が初めてだ。
「おぉー、いただきます!」
「どうぞお上がり下さい」
食事の挨拶を終えてドヘオはマヨネーズを絡ませたリモコンを一口。
そして、
「これ本当に食いもんか?」
え?
ドヘオは横に間延びした口から、馬鹿にしたような声を出した。
「ったく、リモコンにマヨネーズかかってるからどんな奇策かと思ったら、単にセンスがナンなだけかよ。ここは日本だカレーもジャポニカだぞ。しかもリモコンへの火の通しが甘い。こんなん食ったら腹壊すっつの」
「え、あ、あ……」
私はワウワウと口を動かすが、そこからちゃんとした言葉が出てこない。
「あーあー駄目だなこりゃ。13億点中4点。リモコン料理やめた方がいいよ才能無いから?」
「…………あ、へへへ、ははは、てて、手厳しいな」
「ふん、こんなの当然だろ。俺は天下のご意見番だぞ?」
その時にはもう、私はポケットのクーラーのリモコンを握りしめていた。鈍器として。妄想と現実の風車の中で。
それから、ガツン!という激しい音と共にドへオが後頭部に大きなダメージを受けて倒れるまでに、長い時間はかからなかった。
突発的な行動故どうしようか右往左往していると、
「お、ドヘオが倒れてる」
「手間が省けたじゃん」
防護服に身を包んだ男女がこちらを覗いていた。透明なシールドから見える顔つきからして男はぎりぎり若者じゃないぐらいで、女はそれより10歳ぐらい若そうだった。
「あなた達もこいつに恨みがあるんですか?」
私が思い切って2人に尋ねると、2人はちょっと難しそうな顔をしている。
「おいら別に恨みがあるわけじゃないんだが、」
「あたしもー、恨み、まぁそこまでは」
「そうですか……」
「まぁでも、どっちかって言うとあんたの味方だぜ?」
「そいつをどーにかすんなら協力するよ」
「……え?」
気絶したドヘオをしょった私が連れて行かれたのは、温泉に毒を溶かした毒風呂だった。
「ふっと!」
私は手でドヘオをそこに投げ込んだ。
ドボンという音がして水柱が上がる
「ごぇええやややああああ!」
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