第百二十話 生還
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ッテンハイム侯爵荘園競馬場
テレーゼがヘルクスハイマー伯爵家の決闘代理人によりいきなり銃撃された瞬間、テレーゼの隣に座っていたオフレッサー大将がその巨体から全く想像できない程の俊敏さでテレーゼと暗殺者の銃撃線を遮り自らの肉体を楯にしたのである。
テレーゼの頭を狙った弾丸はオフレッサーの腹部に次々に命中した、しかしオフレッサーは倒れずにテレーゼの前面に立ち楯と成っている。横にいた娘ズザンナが素早い動きで、馬場へ飛び込み暗殺者を倒しに走り込む。
黒マントは、狙撃失敗直後直ぐさま懐からボーガンを出し更にテレーゼを撃とうとするが、オフレッサーが楯になった為に狙撃できない、其処へ突っ込んで来る、ズザンナを撃退しようと矢を放ったが、ズザンナが右手に持っていた鉄扇で矢をはじき返した。
その間、ラインハルトは何も出来ずに居た。いったい何が起こったか判らない状態で有った。キルヒアイスは素早くラインハルトの元へ向かいラインハルトを守るように立ちながら右手を懐に入れ、ブラスターを握りながら、警戒をしていた。
無言でズザンナは突撃を行い、剣を抜き斬りかかってくる黒マントの攻撃を鉄扇だけで凌ぎきり、蹴りを多用した攻撃で相手の剣を鉄扇ではじき飛ばし、そのまま踵落としで延髄蹴りを行い一気に黒マントを昏倒させたのである。その間僅か2分。
その2分間の剣舞は競馬場に詰めかけていた人々の度肝を抜いた戦いで有ったが、多くの人々はいったい何が起こったのか全く判らない状態で有った。
貴賓席のリッテンハイム侯、ヘルクスハイマー伯は何が何だか判らずに混乱していた。
「な、なんなんだ」
「ヘルクスハイマー、あの決闘人は何をしたのだ」
「観客席を撃つなど、前代未聞です」
「何が起きたのだ?」
「貴方、いったい何なのかしら?」
「侯爵、直ぐに見て参ります」
ヘルクスハイマー伯はリッテンハイム侯に挨拶をし、競馬場へ事情を聞きに降りて行った。
観客席では変装して潜入していたテレーゼを守るシークレットサービス達が素早く正体を隠したまま狙撃者などが居ないかを確認している。又テレーゼの影守り達やオフレッサーの部下数人がテレーゼの回りを取り囲み身を守る。
テレーゼがオフレッサーを心配する。
「オフレッサー妾を守ってくれて、礼を申す。傷はどうなのだ?」
「はっ、このオフレッサー、叛徒の攻撃に比べたら、鉛玉ぐらいたいした事は有りません」
「そうか、良かった」
「勿体ないお言葉です」
「ズザンヌ、その者を殺すな!生かしておくのだ!歯に毒を仕込んでおるかも知れん、猿ぐつわもはめよ」
「御意」
テレーゼの言葉にズザンヌは素早くベルトで足と手を縛り、ハンケチで猿ぐつわをして捕縛した。
「オフレッサーよ、馬場へ行き事を収めるぞ」
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