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は彼女に話しかけた。

「…ここら辺はPYT研究所で働く研究者が住んでいる、言わばVIP層の住宅地なんですよ」

「…で、その家がここにあると」

「案内しますが、私の役目はそこまでです。これ以上干渉すると、あなたに危害が及んでしまうかもしれないんです。…奴らは何かしらの手段で私たちの跡をつけてきます。私は何も力を持たないので…」

「そうなのね。……でも色々と助かったわ。ありがとう」

霊夢は足を進めながら礼を述べると、女性は霊夢の眼を見つめて言い放った。それは本気の表情であった。

「本当に残された…私たちの最後の希望───どうか、私達を救ってください!」

◆◆◆

2階建ての大きな一軒家の前に到着すると、女性は足を止めた。確かにスラムの家々とは大きく異なり、極めて居心地の良さ気な建築物である。所々に洒落た煉瓦作りが見え、広々とした庭園まで付随する。霊夢とて此処には住んでみたい、と言う意思さえ芽生えて沸いた。それ程までに豪華で瀟洒な家であったのだ。

「…ここです。ここに私の仲間がいるはずなので、あとはその人の言うことに従って下さい」

「分かったわ」

「…お願いします」

女性は霊夢に希望を託して、そのまま去ってしまった。霊夢が来たことを察知した「仲間」は玄関の扉を開け、彼女を迎え入れる。やや俗っぽく、何処となく垢抜けていない姿をした女性が霊夢の前に現れる。同じく貧相な装いであり、そこには帰属的な闇が呈されていた。

「──あなたがテレビで噂の」

「そうよ…」

「話は聞きました。ここに主人もとい研究者が帰ってくるのは夜遅くです。今はまだ真昼なので大丈夫だと思います」

「は、入ってもいいかしら?」

「どうぞ…って本当はこんなことをしたら大変ですが、今は仕方ありませんので」

彼女は研究者の家へお邪魔し、仲間に書斎へと案内して貰った。そして手当り次第に情報の鍵となるような手紙や書類を漁った。故に、彼女はこの研究者が「GENESIS:CONCORDIA」というGENESIS専門の研究者であることが分かった。また、他の文献によるとGENESIS:CONCORDIAはC区のPDMの力を引き受けるGENESISらしい。
つまりこのGENESISを倒すことが、今に於いて最も鮮明な澪標となったのである。

「ありがとう。…よく分かったわ。まずはこの研究者が担当している「GENESIS:CONCORDIA」を破壊してC区の奴隷を解放するわ」

「C区の奴隷解放…お願いします!あそこを解放すれば、奴隷全体の3分の1が解放されます!」

「場所も分かったわ。…場所はCONCORDIA秘密保管科。…どうやらA区の中央公園の地下みたいわね。…システムロック解除の暗証番号も分かったわ
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