第一章
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痩せさせよう
トラは模様はまさに虎そのものです。黒と黄色の縦縞の猫です。その模様から家族からはこうも呼ばれています。
「よっ、猛虎」
「阪神の守り神になれよ」
「ニャア」
虎は家族の言葉にこの鳴き声で返します。確かに模様は虎です。
ですがトラは猫ですがそれ以上に虎には見えませんでした。何故かといいますと。
家族の子供達である歩と友則の兄妹、名前は何処か男女逆になっている兄妹がトラを見ていつもこう言うのでした。家族皆から愛されている猫を見て。
「また太ったよな」
「うん、またね」
「本当に太いよな」
「デブっていうかね」
「うん、こいつデブ猫だよ」
「何処からどう見ても」
二人で言います。トラはお腹が出ていて全体的に丸いです。顔にも脂肪がついています。
そんな太ったトラを見てです。二人は言うのです。
「太り過ぎはよくないよね」
「そうよ。トラ太り過ぎよ」
「このままだと本当によくないよね」
「どうしようかな」
こう言ってです。二人はお父さんとお母さんに相談しました。
家族でお食事に使うテーブルに座って話をします。けれどそのテーブルの上には。
トラがいます。テーブルの上にでんと寝そべってその巨大なお腹を見せています。
そのトラを見てです。歩が言うのです。
「太り過ぎだよね」
「うん、お父さんもそう思う」
「お母さんもよ」
お父さんもお母さんも自分達の目の前ででんと寝そべっているトラを見ています。
「全く。気付いたらな」
「こんなに太ってるなんてね」
「これじゃあ虎じゃないぞ」
「猪じゃない」
それに見えるまでにです。トラは太ってしまっています。
「本当にね」
「食べ過ぎよね」
「ニャア」
困った顔で言うお父さんとお母さんを見上げて。トラはこう言うだけでした。
それでテーブルの上で寝そべったまま毛づくろいをはじめます。トラだけはお気楽です。
そのトラを見ながらです。今度は歩が言います。
「ダイエットさせる?トラ」
「そうしない?」
友則も言ってきます。
「何かこのままだとお相撲さんみたいになっちゃうよ」
「虎じゃなくなるよ」
「折角の虎模様で阪神なのに」
「全然虎じゃないじゃない」
一家全員阪神ファンです。そのこともあって言うのです。
「これだけ太ったら」
「健康にもよくないし」
「そうだな。それじゃあな」
「ダイエットさせましょう」
お父さんとお母さんも子供達の言葉に頷きます。そうして。
あらためてです。トラを見て言うのでした。
「顔はいいんだけれどな」
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