異変
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パチュリーは早速、剣で2人に斬りかかるものの、チルノが氷の剣で受け止める。剣と剣とが真正面から衝突し合い、ぎこちない音を辺りに響かせる。
「あたいが止める!霊夢、今のうちに…!」
「分かったわ!」
霊夢は一枚のカードを右手で空に掲げ、宣言する。その声高らかな息吹は、やがて一つの力となって収束せしめる。
「霊符!夢想封印っ!」
すると霊夢から色彩豊かな光弾が次々と飛び出しては「敵」であるパチュリー目がけて飛んでいくのだ。降り注ぐ光の雨に、彼女はそれを刮目しては口を引きつらせた。
「おっと、あなたたちの自由にはさせないわよ」
パチュリーはチルノから離れ、霊夢の夢想封印を華麗に避ける。連続した光弾は地面に炸裂していく。大地は割れ、その威力を自ら表現していくのであった。
「隙あり!」
チルノは夢想封印を避け切ったパチュリーに斬りにいくが、目の前にレミリアの顔が差しだされる。すぐにチルノは足を止め、動きを止めた。
パチュリーは近くにいたレミリアを身代わりにしたのだ。笑った様子から見て、パチュリーは完全に狂ってしまっている。──無論、それは2人から見た感想に他ならない。然し今のパチュリーが正当性を掌握することは、駱駝が針の穴を通り抜ける事ほど難しいという事を、謎の奇怪的自信が決定を許していた。
「斬れば?斬ればいいじゃない」
笑うパチュリーに対し、レミリアは泣きそうな眼でチルノを見つめる。
「ひ、卑怯者!」
「隙あり!」
パチュリーは、そうして動きを止めたチルノの背中に一瞬で機械を取りつけたのである。するとチルノは機械に力を奪われ、ガクッと体を冷たい地面に落とす。寄生虫が付いたかのように、持っていた生気というものを手足または脳髄および神経、全てたる全てに渡って彼女は力を喪失した。考える力を失い、剣さえ持つことが出来なくなった。今に氷の剣は大地に舞い降りて、脆く砕けてしまったのである。
「力が……」
「ち、チルノッ!」
霊夢は機械を取りつけられたチルノを助けようと近寄るが、パチュリーはそんなチルノをレミリアを持っている右手とは反対の手で背中を掴み、持ち上げる。
「この中に放り込むだけ〜!」
パチュリーは自分が作りだした、外界と繋がっている歪みに2人を投げ込んだ。彼女たちはそのまま歪みの中に姿を消したのである。力を奪われた2人に、抗う方法は存在しなかった。
「レミリアっ!チルノっ!」
彼女は仲間を失った悲しみを込めた眼で犯人であるパチュリーを睨みつける。チルノを目の前で失った悲しみは、彼女を再び自覚させた。今に現実は残酷であることを知り得て、ただ『私』という自己意思に指標を倒錯させない覚悟を取り決めた。
その時、ふと言葉が出走ってしまう。それは
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