異変
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くて彼女は無限(infinitum)と無終(interminatum)を区別した。それらの種子に遺伝子操作を施すパチュリーは、既に芽生える樹木を知っていた。継続は持続の婢女と言いたげに、この直接経験に拠った知覚の解釈性を、ただ非合理的に且つ合理的という背反した中で見出したのである。
「外界と幻想郷を!?…あんた、一体何を企んでるのよ!?」
「何を、って…これを見れば分かるかな?」
パチュリーは時空の歪みの中から、吸血鬼の翼が生えた「友人」の背中を右手で持って現れた。友人は背中に握り拳程度の大きさの何かの機械を装着されており、パチュリーに何も抵抗しなかった。否、抵抗出来なかったのだろう。目は死んでおり、生きた心地さえ示さない。嘗ての生を否定するかのように、その力の貞操を奪われたようである。決して居心地のよいものではない。それに、パチュリーがその友人にここまで外道な所為を行えるという発見に驚愕せしめたぐらいであった。
「れ、レミリア!?」
「パチュリー…レミリアに何をしたの!?」
チルノは完全に元気がないレミリアの様子を見て異常だと思い、ニタニタ笑うパチュリーに問う。彼女は怖かった。それをひた隠すための、反射的反動をしたのである。チルノの手が震えていたのは、恐らく雪の寒さからではない。
「ああ、レミリア?この背中についてる機械のお陰で「力を吸収された」のよ」
「…逃げ…て……」
右手で掴まれているレミリアは必死に霊夢たちに逃げるよう伝えるが、声の小さいことが原因で彼女たちの耳に入らない。無残な身体から、その声が届くことは無かったのである。
「…あんた、自分が仕えているお嬢様に何をやってるのよ!?紅魔館に住んでるんでしょ!?…なら、自分がやってる「とんでもない間違い」に気づきなさいよ!」
「間違い?…幻想郷に住んでいた時にやっていたらとんでもないことかもしれないわね。…でも私はここを捨てた。これからは外界で暮らすのよ。私は既に別人へと生まれ変わったの」
「外界!?」
霊夢はパチュリーの驚きの告白に驚きを隠せない。今に彼女はその恐ろしさを、別に解釈しようとした。防衛機制的な反射である。テュルゴーやコントが述べた推移性、神学的段階から形而上学的段階へ、形而上学的段階から論証的段階に昇華する是正的な変遷を、その絶対要請に収斂させることで表象を分化させようとした。
遍く彼女の理性的な反射は、パチュリーを忌避しているものであった。嘗ての友人であり主人である存在を、いとも容易く拘束出来る他者への浅薄な想い。霊夢には、それが感情という名のバーリング家に訪れたグール警部にしか思えなかったのだ。
「パチュリー…やっぱりおかしいよ…」
様子が以前と比べて豹変している彼女にチルノは恐怖を覚え
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