異変
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は永遠の相の下に(sub specie aeterni)観測される、超感覚者のスピノザ的観察による流出と進化の胎児性は、こうした世人的な頽落表象の弁証法的有限性を係ることなく表す、根本形式の最前たるものに他ならない。チルノは、こうした表象諸形態の崇拝を拒んで誕生した一般性を、心底醜く捉えて侮蔑した。理性の啓示を悉く嗤う、ただ目の前だけを見た存在。そのヒエラルキーたるや、価値区別を最高とする妥当性の中で安定しているものの、それを再び獅子に帰りて何日転覆出来るのか、はたまた複雑多様なる交錯の中で進退に窮する時にツァラトゥストラを模倣する内奥的意思を持っていた。
それがチルノの中で、誰にも気付かれないまま理性から孵ったのは述べるまでもない。
「…そうね、困ったわ。他に誰かいるかしら…?」
霊夢は他の人を探そうと思ったその時、背中から声が掛かる。
不気味で不穏な声。何処と無く恐怖に陥れるような、残忍な音韻。振り向くまでの一瞬の時間が、彼女たちを恐怖のどん底に落ちたかのような零落を味わせた。
「博麗の巫女、氷の妖精を発見〜!」
霊夢とチルノはその声のした方を振り向くと、そこには紫と薄紫が入り交わった服を着て、被っている帽子に三日月の飾りをつけている魔法使いが笑いながら立っていた。右耳にはイヤホンをつけている。この世界では見たことないが、よく外界に行く存在からイヤホンについて話を聞いた事がある。霊夢にとって疎いそれを、今にまじまじと見るとなるとは思いもよらなかった。
「ぱ、パチュリー!?」
「あんた、何処から来たのよ!?」
「何処から?ここから〜!」
パチュリーは懐からボタン形式のスイッチを取り出し、押すとパチュリーの真後ろに紫の隙間のような時空の歪みが出来上がる。
歪みは渦を巻いていて、パチュリーを飲みこみそうな勢いであった。ブラックホールのような吸引力が、彼女の体を持っていきそうになる。必死に抵抗し、足を大地に踏ん張らせる霊夢やチルノを余所目に、パチュリーはただただ笑っていた。
「わ、訳わからないわよ!?それにあんたが持っているソレは何!?」
「これ?これは私とにとりが共同で作った、外界と幻想郷を繋ぐ歪みをいつでも作れる装置よ。凄いでしょ?」
「パチュリー…何か…何か変だよ…」
チルノはそう呟いた。パチュリーは何処からどう見ても、いつもより様子が悪い方向におかしくなっていた。普遍主義的世界観から覗いても、今の彼女は明らかに悟性に欠けた存在であっただろう。冷静さと言う単純内属の鎖を断ち切り、その事物範疇を超克するような立場に、2人は戦慄さえ覚える。
彼女は『自然』ではなかった。まるで科学理論に根本原理の不滅性や不変性を捉え、反自然的様相をニコラウス・クザーヌスのような反動的無限に置いた。か
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