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転生とらぶる
ペルソナ3
1842話
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覚えがあったのだが、桐条の声に反応して立ち上がった女を見て、どこで聞き覚えがあったのかを理解する。
 そう、桐条が俺を連れて行った先にいたのは、2月に咲いた桜の花見にゆかりと共に行った時、遭遇した女だったのだ。
 そう言えばゆかりが鳥海先生とか何とか言ってたような……

「君、岳羽さんと……」

 そう言ってくる鳥海に向け、頭を下げる。

「アクセル・アルマーです。今日から月光館学園に転入する事になりました。よろしく」

 一応ここでの俺の立場は、あくまでも転入してきた生徒という扱いだ。
 そうである以上、いつものような言葉遣いをする訳にもいかないだろう。
 ……何だかムウ辺りが今の俺を見たら、腹を抱えて笑いそうな気がしないでもないが。

「そう言えば、岳羽さんも貴方のことをアクセルって呼んでたわね。……よろしく、アルマー君。私がアルマー君が所属する2-Fの担任の鳥海いさ子よ」

 笑みを浮かべるその様子からは、出来る女教師……といった様子が見て取れる。
 んー? ゆかりから聞いた話だと、この鳥海って教師はかなり面倒くさがりというか、ズボラな性格をしているって話だったんだけどな。
 まぁ、ここは職員室だし、俺は転入生だ。見栄を張っているといったところか。

「では、お互いの紹介も済んだようですし、後は鳥海先生に任せて私はこの場で失礼させて貰おう」
「ええ、アルマー君の案内ありがとう」

 短く言葉を交わし、桐条は去っていく。
 それを見送ると、鳥海は改めて自分の席に着く。

「さて……まさか、桐条さんが連れてきた相手が貴方だったとはね。ちょっと驚いたわ。アクセル・アルマーという名前を聞いた時点で思い出せれば良かったんだけど」

 そう言いながら、鳥海の視線が俺に向けられる。
 その様子は、先程桐条の前にいたような出来る女教師といったようなものはなく、気怠げにしているのが印象的だ。

「いきなり上から私のクラスに転入生が来るって話だったし、しかも急な事だから写真とか経歴とかもないし……アルマー君、君は一体何なのかしら」
「さて、何なんでしょうね。正直なところ俺も何でここにいるのかは分かりません」

 普通の高校生活を楽しみたいとは思っていたが……
 ともあれ、鳥海は俺の言葉に何を思ったのか、それ以上は特にこっちを疑うような様子もないまま、口を開く。

「うちの学校は色々と特殊なところがあるのは知ってるわね? 特に教師が色々と特殊なんだけど……」
「鳥海先生とか?」
「私は普通よ。少なくてもこの月光館学園の中だと、どう考えても普通でしかないわ」
「ふーん」

 自分で普通だと言う者が普通だという事はあまりない。
 まぁ、だからと言って俺が普通だとは、口が裂けても言えないのだが。
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