第一部 ケイオスクルセイダーズ
名状しがたい幕間の物語のようなもの
18.お酒曰わく酔えよカオス(後編)
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しいわ」
『ハイハイ、乙』
腰までくる金髪に紫色をあしらった独特の服装はその人物を八雲紫であることを示していた。そして、その一歩後ろにもう一人侍らせていた。
「久しぶりだな。丞一」
「お久しぶりです、藍さん」
八雲藍。紫の式神で秘書ポジションの九尾の狐である。九尾の狐とは数々の伝説にあるようにそれ自体がトップクラスの力を持つ強力な妖怪であり、幻想郷においてもそれは同じだ。それが式神の身に甘んじているのは、ひとえに八雲紫の強大さを推して知べしだろう。能力は『式神を操る程度の能力』。式神が式神を使役するとはこれ如何に。
「で、この幻想郷に来て一カ月たったわけだけれどどうかしら?」
「……………紫さん。あんた、早苗が俺の幼なじみであることも姉さん、十六夜咲夜がここにいることも分かっていたな」
早苗の話は前々から、紫は丞一から聞いていたし咲夜の件も知っていた。知っていたからこそ、まだ幼かった丞一を紫はある程度の子育てはしたのだから。地味に三者面談も紫が出席していたのだ。だが、
「決して俺のためには動かないものかと思ったよ。自分が欲しいものは自分で手に入れる。そう言う約束だったしな」
「利害の一致って奴よ」
「そうか」
丞一がそう言うと会話がとぎれ、互いの杯とお猪口に酒を注ぐ。
風が丞一たちの頬をなでた。空っとしすぎていない、まるで冬の到来を告げるような風だった。
「───────幻想郷は、良い風が吹くな」
幻想郷に来て本当によかった。丞一は改めてそう思えた。
そう思いながら。丞一は襲ってきた眠気にそのまま身を任せた。どうか二日酔にならないよう祈りながら。
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