暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
第5章:幽世と魔導師
第127話「強化される妖」
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頭が矢に貫かれる。
 同時に、目の前に黒色が。……これは…。

「……葵?」

「初の実戦お疲れ様。……選手交代だよ!」

 その黒は、葵のマントだった。
 私を庇うように立った葵は一気に槍を持った個体に肉迫し……。
 瞬時に、その体に風穴を開けた。
 見れば、残りの回復の術を使っていた奴も矢に貫かれて消えていた。

「無事かしら?しっかりしなさい」

「椿……戻ってきたんだ」

 いつの間にか椿も隣に来ており、私に治癒の霊術を掛けてくれた。

「……ちょっと、遅かったよ?」

「悪いわね。他県に行った際に、富士川の龍神を倒してたから時間がかかったわ」

「龍神……?」

 名前からして強そうな相手なんだけど…。
 いや、今はそれよりも…。

「妖は霊力に引き寄せられてるから、倒してもまたやってくるよ!」

「分かってるわ。…だから」

     ドスッ!

「倒し続ければ問題ないわ」

 ……ぼ、暴論だ…。確かにその通りだけど、私じゃスタミナが持たないや…。

「だ、誰…?」

「味方…?アリシアの知り合い……?」

「あの子、あの時弓道場にいた…」

 校舎の方からざわめきが聞こえる。
 ……って、一年の時の事を覚えている人いたんだ。

「葵」

「フォローし合う必要もない……ね。司ちゃんを助けてくるよ!」

「ええ」

 そういって葵は駆け、椿は弓を構える。
 そしてやってくる何体もの影の妖。…どうやら、二人に引き寄せられたみたい。

「…大丈夫なの?」

「誰に物を言ってるのかしら?……こと、妖に掛けては、優輝よりも熟知してるわ!」

 そういって放たれる矢。
 接近を許さない矢に、影の妖達も翻弄される。
 弓や術を扱う個体が応戦するけど、ものの見事に相殺され、貫かれる。
 偶に矢などがすり抜けてくるけど……。

「シッ!」

「(巧い……それに、冷静…)」

 椿の持つ短刀に叩き落される。
 相手の動きを知っているからこその冷静さと手際の良さに、校舎の皆も言葉を失うような驚きに包まれていた。

「アリシアちゃん!」

「司!」

 そうこうしている内に、葵に助力してもらった司がこっちにやってくる。

「頃合いね」

「じゃあ、行くよー。そー、れっ!!」

   ―――“呪黒剣”

 再び私達の前に立った葵が、レイピアを地面に突き刺す。
 そして、霊力で作られた黒い剣が大量に生え、妖を全て貫いた。

「一掃完了。………と、言いたい所だけど…」

「この気配は……」

 一気に妖を倒して、一段落着けるはずなのに、二人は警戒を解かない。
 むしろ、剣呑な雰囲気が増していた。

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