暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第四十三話 また会うために
[5/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ろう。

 そして今分かるのは、この事件は終わったってこと。

「……ははっ」

「お兄ちゃん……泣いてるの?」

「え?」

 フェイトが俺の顔を覗き込みながらそう言って、左手で頬を触ると、そこには海水とは違う、汗とは違う、少し熱を帯びた液体が流れてるのに気づく。

 これは……涙?

「え……俺、なん、で……」

「お兄ちゃん……」

 左手で必死に拭うけど、止まらない。

 不思議だ。

 こんなに泣いたのは久しぶりで、しかも、嫌な気がしない。

 清々しい涙を、どう止めればいいのか分からず、だけど

「大丈夫……大丈夫、だから」

「ホント?」

「ああ。 これは別に、嫌な涙じゃないから」

 そう言って、俺は涙ながらに笑みを見せる。

 それは作り笑いじゃない。

 心の底から出した、俺の素直な感情だ。

 ならばきっとこの涙は、嬉し涙だ。

 俺は左手で、必死になって救った少女の頭を撫でながら、その瞳を見つめる。

「よかった。 君が、笑顔になって」

「……うん。 私を助けてくれてありがとう、お兄ちゃん」

「……ああ」

 互いに思いの丈をぶつけ、そして笑い合う。

 さて、終止符はちゃんと打った。

 これ以上は、ホントにデートなんて雰囲気じゃなくなる。

 涙は止まった。

 そろそろ行こう。

「さて、飯でも食いに行くか」

「うん!」

 もう一度、俺たちは歩き出す。

 今度は新しい一歩を、しっかりと心に刻みつけながら。


*****


 二ヶ所目は喫茶店・翠屋。

 そう、なのはの実家だ。

 洋菓子もそうだが、ここは主食も普通に提供されている。

 数は少ないが、それでも充分にお腹が膨れるものが食べられる。

 雰囲気もいいし、海鳴じゃ人気の店だ。

 デートにはピッタリだろうと思いながらそこで食事を取っていると、なのはの母こと桃子さんが嬉しそうな表情で紅茶をサービスしてくれた。

 小さな気遣いだけど、十二分に嬉しかった。

 流石にフェイトからケーキを一口あ〜んされた時は恥ずかしさで倒れそうだったが。

 食べましたけどね!?

 なんだったら俺の方からもあ〜んをやりましたけどね!?

 周りからの暖かい眼差しがなんとも言えない時間でしたよ!?

 なんてことを終えた俺達が最後に向かったのは、少し山道を登った先にある無人の神社だ。

 小さな山の頂上とはいえ、そこからみた海鳴の景色はとても綺麗だ。

 それを見に行くのもデートの醍醐味だろう。

 そしてここは、俺とフェイトの思い出の場所でもある。

「ここで、私とお兄ちゃん
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ