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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第四十三話 また会うために
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靴だったらと思うと、やっぱり避けたい。

 ――――なんて、相手の色んなことを気にしながらプランを立てるのがデートだと知った。

 そして、こういうことを積み重ねて異性は関係を深め、いつかは結婚するのだろう。

「難しいな……」

「何が?」

 デートの難しさ、結婚までの遠さを実感していると、俺の目の前に立つ一人の少女がいた。

「あ、フェイト?」

「ごめん、待った?」

 黒の半袖ワイシャツに白のショーツに黒い紐でツインテールを作ったその子は、なんかいつもより可愛らしく感じた。

 これはデートの雰囲気がそうさせているのだろうか?

「……どうしたの?」

「あ、ああ……ごめん。 服、似合ってるよ」

「ホント!?」

「ああ。 良く似合ってる」

「ふふ、嬉しいなぁ」

 その言葉通り、フェイトの頬は緩みきり、今にもスキップを始めそうなほどウキウキしてるように俺も微笑ましい気分になる。

「さて、それじゃ行こうか?」

「うん!」

 嬉しそうな勢いそのまま、フェイトは俺の右腕に抱きついて歩き出す。

 この絵は兄妹と言うより、恋人っぽいけれどフェイトはそれでいいのだろうか?

 なんて、それを聞くのはきっと野暮なのだろう。

 それに俺自身、こうして可愛い妹と仲良くしているのは嬉しい。

 だから今はただただ、この貴重な時間を心ゆくまで楽しもう。

 そう思いながら、俺とフェイトは他愛もない話しをしながら海鳴の街に出た。


*****


 ――――そんな二人の後をつける三人の少女がいた。

 高町 なのは、逢沢 雪鳴、逢沢 柚那の三名である。

 三名とも、今日が黒鐘とフェイトのデート日であると(なぜか)知っており、こうして二人が楽しそうに会話をしながら歩く姿にこれでもかと言うほど嫉妬していた。

「「「いいなぁ」」」

 三人とも、抱く感想は全く同じだった。

 思えば知り合ってから、再会してからというもの、黒鐘はジュエルシードの件やフェイトの件が原因で気を抜く時間なんてほとんどなかった。

 みんなを心配させまいと笑顔を振りまいたりしていたが、彼を取り巻く環境は彼を戦場へ導いてばかりで、三人の中で特に印象的だったのはやはりイル・スフォルトゥーナとの最終決戦だろう。

 ボロボロになっても立ち向かう最愛の少年の姿に、彼女たちは心を痛めた。

 いっそ、死を迎えてでも楽になって欲しいとすら思ったほどに、彼の姿を見るのは辛かった。

 そんな戦いが終わり、ようやく訪れた平穏。

 そこで今、彼がフェイトに向けている笑顔は、明らかに今まで見せてきたものとは違って、力みがなく、意識的なものがなく、ただただ自然
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