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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第640話】
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、元イタリア代表アリーシャ・ジョセスターフ」


 わざわざ元を強調するのはスコール自身のいやらしさだといえる、グラスに注がれた赤ワインの香りを楽しみ、一口。

 ワイングラスの中の赤い液体は揺れ、波打つ――グラス越しに映るアリーシャの赤い髪は赤ワインよりも鮮明な色使いだった。


「一応言っておくけどサ、私は織斑千冬との対決以外はパスさせてもらうのサ。 テロに加担しない、強奪殺人無し。 ……とはいえ、仮に織斑千冬との対決に水を差す相手が居たらそいつは露払いしてあげるのサ」


 キセルを吸い、煙を吐くアリーシャに食って掛かるのはオータムだった。


「テメェ……! 亡国機業に参加しときながらそんな我が儘――」

「やめなさい、オータム。 それを折り込み済みで誘ったのは私よ」


 スコールが止める、アリーシャは下らなさそうにオータムを一瞥し、一方のオータムはやり場のない憤りを――「……けっ!」――と毒づく。


「まあそういう事なのサ。 適当によろしくなのサ」


 それだけを告げるとアリーシャは踵を返してフロアから立ち去る。

 残されたオータムは面白くなさそうにそっぽを向くも、スコールの優しく頭を撫でてくるので機嫌が直る。


「なあなあ、スコール! 次の作戦はもう決まってるんだよな!?」

「勿論よ、オータム。 作戦名は……」


 椅子から立ち上がり、窓から夜空を見上げる。

 空のその向こう、成層圏を越えたその先――未だ人類は月までしか到達していない未知の領域である宇宙。


「オペレーション・エクスカリバー」


 地球の周りには無数の人工衛星が打ち上げられている。

 天気予報の為の物や各国を監視する軍事衛星――白騎士事件当時にあった攻撃型衛星の大半は零世代である白騎士によって破壊され、二千発を越えるミサイルを迎撃したのは誰もが知る表向きの【白騎士事件】だろう。

 だが果たして、本当に一機のISだけでそれだけの弾道ミサイルを撃ち落とし、切り伏せた――どれだけの人間が懐疑的に思っただろうか?

 所詮画面の向こうでの出来事、報道されている内容と違っても映し出された映像が配信されればそれは事実となる。

 白騎士事件後、表向きは軍事衛星は最小限に抑えられた筈だった――だが、今衛星軌道上に浮かぶ一機の軍事衛星――既に亡国機業の手に落ちたその衛星――否、高度エネルギー収束砲『エクスカリバー』は目覚めようとしていた。

 Ring Gong……Ring Gong……。

 何もない空間、彼女の時間はとまり、虚空と虚無の狭間で彼女は歌う。


「Hello Baby.I Ring the BELL」


 歌う、詠う、謳う……だが、
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