ターン80 学園英雄と邪魔の化身
[2/17]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
させておこうと思ってな」
『そうなのよ!万丈目のアニキったら見た目通り結構頑固だから、実家の力なんか借りんって万丈目グループに頼らないでプロ入り目指してるのよ、偉いと思わない?』
「見た目通りは余計だ……ん、どうした?」
「いや……偉いね、万丈目」
その時思わず口にした言葉は、僕の紛れもない本音だった。恐らくいつぞやのノース校四天王の将、鎧田の存在にも刺激されていたのだろうが、万丈目はこうして自分の将来を見据え、前に踏み出すべく胸を張って足掻いている。
いや、万丈目だけではない。今の話にも出てきた、明日香や翔だってそうだ。それぞれ目指す場所は全く違えども、このアカデミアからさらに先の道へ飛び出していこうとしている。じゃあ僕は、どうなんだろう。覇王の世界で辺境の大賢者さんは僕に、目の前の道を進むかどうかは僕の自由だ、そんな言葉を残していった。僕の目の前に、道は何本あるんだろう。僕が選ぶことのできる道の中で、未来に繋がっているのはどれだろう。そう自問しているうちにすっかり毒気が抜けてしまった僕の顔を、心配そうに万丈目が覗きこんでいた。
「おいおい、なんだその腑抜けた顔は。お前もどうせ、狙いはプロ入りなんだろう?お前もこの俺のライバルの1人としての自覚を持って、もっとしゃっきりしろ」
「うん……」
万丈目なりに心配して、励ましてくれているのだろう。それはわかっているしその心遣いが身に染みるけれど、そんな程度の軽口にも反応する気分にはなれずに万丈目の顔がますます険しくなる。だからその時クロノス先生がレッド寮を訪れ、有無を言わさず万丈目を引きずって行ったことに一番ほっとしていたのは、もしかしたら僕の方だったのかもしれない。
それからたっぷり1週間、万丈目は島から姿を消した。
「んでクロノス先生、本当になんでこんなことになったんですか?」
どうやら、あの恰好は見かけ以上に動きやすいらしい。両腕をぐるぐると回して着ぐるみの感覚を確かめる万丈目の様子を見下ろしながら、全ての原因らしいこの人に話を聞くことにする。
「私にもさっぱりナノーネ。私はただ、プロ志望の夢に燃えるシニョール万丈目にプロの世界を間近で見てもらおうという親心で、エド・フェニックスに土下座ーニャして付き人としてもらっただけナノーネ」
「付き人!?よく万丈目にそんなの務まり……あーいや、すいません先生。なんでもないです」
あのプライドの高い万丈目に……と言おうとしたところで、改めてデュエル場を見た。360度どこからどう見ても色物デュエリストにしか見えない彼のよく言えば吹っ切れた、悪く言えば手段を選ばなくなった姿を見れば、この1週間のうちに彼に何かがあったことだけはわかる。僕の口からはそれがいいとも悪いともいえないけれど、あえて外
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ