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レーヴァティン
第二十三話 堺の街その四

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「全く違ってくる」
「そうだよな」
「そしてだ」
 英雄はさらに言った。
「たれ、ソースを付けてな」
「適量だね」
「多い方がいいがだ」
 しかしというのだ。
「過ぎてはいけない」
「そしてな」
「そこからだな」
「マヨネーズだ」
 次はこれだった。
「ソースと混ざる様にだ」
「上からかけるな」
「それから鰹節、海苔、紅生姜」
「全部かけてな」
「へらで分けながら食う」
「それが通の食い方だな」
「堺、この辺りの国じゃそうだ」
 この三国のというのだ。
「そうした食い方だが」
「しかしだな」
「それが出来ている通は少ないんだよ」
「俺の様な食い方が出来ている奴はか」
「そうなんだよ、それが出来ているなんてな」
 隣の男はさらに言った。
「あんた通だな」
「それでそう言っているのか」
「そうだよ。粋だよあんた」
 まさにというのだ。
「お好み焼きがわかってるな」
「俺の食い方はこうだがな」
「そこで通ぶらないのもいいんだよ」
「通か」
「しかも飲んでいる酒もいい」
 その焼酎までもがというのだ。
「あんたわかってるじゃないか」
「お好み焼きには焼酎か」
「実は麦酒が一番なんだよ」
「ビールか」
「西の島じゃそう言うな」 
「この店じゃ扱っていないけれどな」
 しかしというのだ。
「お好み焼きにはな」
「泡立つビールだな」
「それが一番だ、しかしな」
「合う酒はビールだけじゃない」
「焼酎もだよ」
 こちらの酒もというのだ。
「いいんだよ、しかもな」
「黒糖焼酎か」
「その黒くて甘い焼酎なんだよ」
「それが一番だというのだな」
「あんたは全部わかってる、見事だ」
「見事か」
「本当にな、その食い方飲み方気に入ったぜ」
 見れば彼もそうした食い方でしかも酒も楽しんでいる、黒糖焼酎をいい感じで飲みながらその食べ方をしている。
「色々話したくなったな」
「色々か」
「知らないこと以外はな」
 やはり笑って言う。
「言いたくなったぜ」
「では一つ聞きたい」
「俺の知ってることでかい」
「そうだ、知っていたら答えてくれ」
 こう隣の客に言った。
「俺もそうだが外の世界から来た奴のこととかな」
「この島のか」
「珍しいそうだがいるな」
「ああ、何人か聞いたことがあるぜ」
「そうか、それはよかった」
「それで何処の誰のことを聞きたいんだよ」 
 外の世界から来た彼等のうちの誰かでというのだ。
「一体」
「誰でもいい、何か知ってるなら教えてくれ」
「そうか、じゃあ一つ二つ三つ話すな」
「頼む」
「都に凄腕の陰陽師がいてその北東に凄い坊さんがいる」
「その二人はか」
「ああ、それぞれな」
 その彼等がというのだ。
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