第二十三話 堺の街その二
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「疑われたりするから注意しなよ」
「紙の方はそうか」
「普通の銭よりもな」
つまり銅貨等よりもというのだ。
「そこもわかっておけよ」
「紙幣の墨や使っている紙や描かれている字や絵でだな」
「わかるからな、それで偽札刷ってる奴もな」
「いるか」
「そうした紙の銭は使うなよ」
即ち紙幣はというのだ。
「いいな」
「わかった」
英雄は町人のその話にも頷いた。
「ならそちらもだ」
「気をつけてな」
「金を換えよう」
「金は命だぜ」
町人はこうも言った。
「何といってもな」
「ないと何も出来ないな」
「飯を食うのも何もかもな」
それこそというのだ。
「出来ないだろ」
「その通りだな」
「だからな」
それでというのだ。
「あんたも結構金持ってるみたいだけれどな」
「大事にしろ、だな」
「戦ばかりでも、いや戦ばかりだからこそな」
「金は必要だな」
「金がないと戦も出来ないさ」
それこそというのだ。
「だから金はな」
「本当に必要だな」
「まさに命だぜ、じゃあその命をな」
「大事に使っていく」
「そして増やせよ」
その命に等しいものをというのだ。
「いいな、じゃあな」
「言って来る」
「そうしな、さて俺はな」
町人は英雄との話を終えるとにこにことした調子で言ってきた。
「今日は仕事も早く終わったしな」
「それでか」
「今から遊郭だ」
そちらに行くというのだ。
「十三のな」
「十三か」
「ああ、そこにな」
「この世界の十三は大阪ではなく堺か」
この街にあるのだとだ、英雄は頷いたうえで理解した。
「成程な」
「この世界?あんたまさか」
「外の世界から来たが」
「そうか、そうした人は俺はじめて見たよ」
そうだったというのだ。
「実際にいたんだな」
「この通りな」
「外見はこっちの島だけれどな」
東の島の者のものだというのだ。
「けれどか」
「そうだ、外の世界から来た」
そうだったと、また話した英雄だった。
「外見はともかくな」
「けれど違うんだな」
「そういうことだ、では両替をしてな」
「ああ、こっちの世界でもやっていきなよ」
「まず何かを食う」
「そうしなよ」
町人と話した、そして。
英雄は彼と別れてだ、そのうえでだった。彼は持っている金を全て銀に換えてからだった。
そのうえでだ、近くにあった飯屋に入ったが。
そのメニューを観てだ。彼は店の親父に言った。
「お好み焼きがあるのか」
「はい、そうですが」
「どっちのお好み焼きだ」
こう聞いたのだった。
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