暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−銀ノ月−
終演
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タを解析し、バグを解除してみせるという申し出を断ったところから、この結果は変わらない結末だった。

「……いいの?」

「惜しいって言ったら嘘になるし、愛着もある。だけどこのデータが残ってたら、またデジタルドラッグみたいな、何かのきっかけになるだろうから」

 あのデスゲームからとはいえ、今までの戦いをずっと乗り越えてきた初めてのデータであり、未知のバグが仕込まれていようがずっと使い続けるつもりだった。ただしそのバグを今回のリーベのように利用されるとなれば、このデータが残っていることは許されないのだろう。我ながら悲劇のヒロインぶったような結論だが、あちらの世界に迷惑がかかるというならば。

「俺だってあの世界は気に入ってるんだから、たまには恩返しさせてくれ」

「……そう」

 あの世界を気に入ってる――などとデスゲームに囚われた時には死んでも思わなかったことを、こうして笑顔で口にできるのも、あちらの世界で出逢えたリズのおかげだろう。そんな彼女と結んだ《リンダース》への帰還という約束を破ることになるのは、何やら皮肉めいた感覚に襲われてしまうが。リズとの約束のことを含めた今までのことを思い出していると、無意識にふと呟いていた。

「……さよなら、俺」

 ――そうして密売人の逮捕と服用者と呼ばれるプレイヤーたちのアカウント削除を以て、短いながらもデジタルドラッグの事件は幕を閉じるとともに、ショウキというアバターのデータは削除された。

 ……それともう一つ、彼女も行動を起こしていたが。

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