終演
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ながら嘲るようにそう言い放った。
「……なんでもお前の言う通りになると思うなよ。端的に言うと――ざまあみろ」
「ッ――そんな理由で……貴方なら殺してくれると思ったのにっ!」
ざまあみろ、という理由が語られるとともに、愛は初めて怒りの感情を見せてショウキに掴みかかった。別にSAO生還者ならば誰でもよくて、御しやすい相手を選んで何年も観察してきたのに――そんな彼に、最後の最後で引っくり返されて。いっそ絞め殺してやりたいところだったが、現実ではただの少女にすぎない愛には、だだっ子のように効きもしない拳を打ち付けるしか出来なかった。
「殺してよ! ねぇ、殺してってば! 殺して……殺してください……お願いですから……おねがい……」
最後は力を失って身体ににもたれかかって、彼の胸に顔をうずめながら泣き落としていて、本当に子供のかんしゃくのようだと、愛はどこか他人事のように自分の行動を思っていた。そんな愛を哀れとでも思っているのか、振りほどこうとも何も喋ろうとしない彼に感謝と殺意を抱きながらも、うずめていた胸から顔を放して彼の表情を見上げてみれば――愛は、自らの選択ミスを悟ることとなった。
「……何で、何も言わないのさ」
「俺に何かを言う権利なんてない」
自分ではそんなつもりはないだろうが、この状況に至ってまで、ショウキの顔には愛への同情の感情が広がっていた。相対する者はかの《死銃事件》の共犯者だというのに、まだ愛への甘さを押し留められない相手などに、人間を殺せるわけがないのだと、愛は理解してしまう。
――相手にこの男を選んでいた時点で、自分の計画は失敗していたのだと。
「あは。あはは。あははははは!」
「おい……!?」
泣いて懇願してきたかと思えば、今度は逆に笑いだした愛のことが流石に心配になったのか、何かを言う権利などないと言ってのけたショウキが慌て始める。そうして彼がこんな自分に優しさを向けてくればくるほど、そんな彼をこの計画に入れた自分が馬鹿らしくなってきて、もう笑うしか出来ずにいた。ずっと操り人形程度にしか思ってなかった存在より、自分の方が圧倒的に劣って
いたなどと思い知らされて。
ああ、こんな相手に助けを求めていたのかと。
「あはは、はは! あーもう……やーめた。もうさ、すぐお巡りさんが来るんでしょ?」
そう分かった瞬間、愛から毒気が抜けていた。最後の最後どころか、最初に自らが選択ミスをしていたことに笑いが込み上げてきて、愛はショウキの懐からそっと放れていく。まさか彼しか来ていない訳でもないだろうと問いかけてみれば、当然ながら《ナーヴギア
》をひっぺがす前に警察には通報済みらしく、ショウキは小さく頷いていた。
「……ああ」
「なら、その前にお
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