第92話 懇願
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「全くこれだから胸が貧しい人は嫌だわぁ」
「あ、アンタだって今似たような胸でしょうがぁぁー!」
何やら布束が拘束されているのを巡っての言い争いをこの二人はしているようだ。
布束は現実味のない身体をゆっくり起こしながら不思議そうに見開いた目でギロギロと眺めるように無表情色を強くしながら見上げている。
「な、何よ......一応助けたんだから礼くらい言いなさい。この場合、歳は関係ないからね」
「............ありがとう」
「ほらね理性的な人ほどなんでかお礼を言わないの......えっ!?」
「礼を言ったのよ......ありがとうって」
飄々としてのらりくらりと立ち上がると表示されているモニターを興味深げに覗き込む。
「ど、どちら様です......か?」
非常に畏まった御坂の様子に布束が無視して指差した。
「これは何かしら?」
ゲージが溜まり切ったのを確認すると食蜂ミサカぎキラキラとした瞳でイタズラをするように笑みを浮かべた。
「今ねぇ、ほとんどの人がゼツ達にやられて倒れているから起こすだけよぉ......私の改竄能力でね」
『エクステリア』
一三対目以降の任意逆流開始
耳鳴りのような音が聴こえてくると同時にビルの窓から黒ゼツを優雅に眺めている本物の食蜂がリモコンを押した。
学園都市全域に神経電質が流れ出したかのように飛び火して倒れている人々の眼が開いて、食蜂のようなキラキラとした星のような瞳に変貌していく。
「......これで丸裸ねぇ〜。ゼツ」
空を走っている光る糸が断ち切れて空が綺麗な火花が散らばっていくのを観察してリモコンで狙いを定めていく。
******
食蜂がエクステリアを使う数分前に病室でグルグルとした一部分がポッカリと空いた面が白井の顔に張り付いてぎこちなく動かしている。
右目部分が完全露出しており中では悔しさにも憤怒にも似た憎しみを露わにして皺を寄せている。
トビは自分が持っていない
持つ事さえ許されていない感情を表出させながら無差別レベルアッパー騒動で大混乱の病院内をユラユラ壁を支えにしながら狙いを定める。
「クソ......油断したっす。げほげほ」
身体と声は白井の声帯を借りており、あまり操りが上手くいかないのかくぐもった声になって咳をする。
先ほどから面の再生の術を使っているが勝手が違うようであまり効を奏していない。
「身体が上手く動かない......こうなればやたらめったら......!」
看護師が使っている処置ワゴンがとある部屋の前に置かれているのに気が付いたトビはワゴンを物色して使用済みの注射針を引っ掴むと辺りをキョロキョロして様子を伺い、針を指の間に挟み込んでクナイのように構えた。
「あっ!?白井さんじゃないですか!」
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