第百十九話 意外な共謀者
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意外な反論に、ノビリンク大佐以下が顔を見合わせる。皇太子の上意があればラムスドルフなど簡単に動くと思っていたからである。
「では、閣下は皇太子殿下の御聖断に楯突くというおつもりですか!」
「まずは皇帝陛下に真をお聞為さるのが筋という物で有ろう。卿等の言っていることは横紙破りも甚だしい」
「ですから、皇帝陛下が、君側の奸と毒婦により操られているのです。それを憂いた皇太子殿下が断腸の思いで、御聖断為されたのです」
説得が旨く行かずに次第に焦りはじめる幹部達。
「閣下!閣下は逃げるおつもりか!」
ラムスドルフとしては、現在幹部の言うような自体には全く成っておらず、逆に綱紀粛正で世の中が良くなってきているのにも係わらず、この様な命令書が出る自体が可笑しいと、説得しているのであるが、相手が聞かないために、体を張った賭に出た。
「逃げはせぬ。卿等のしようとしている事は、暗赤褐色の時と同じではないか。頭を冷やすのだ」
「どうしても、命令を出して頂ける事は出来ませんか!」
「くどい」
その言葉に、マックス・フォン・ヘーデル大佐がブラスターをラムスドルフに向け構える。
「ノビリンクもういい、俺が代わる」
「判った」
「承諾して頂かないと、閣下のお命に係わりますぞ」
その様な脅しに乗るラムスドルフではない。最初から命を賭けているので、立ち上がると睨み付けるように言葉を放った。
「卿等は国を割るつもりか!卿等の企みなどに荷担する気は毛頭無い!卿等がそれでも企みを諦めぬならこの老骨の屍を踏んでいくがよい!撃てるモノなら撃ってみよ!」
ラムスドルフの信念言葉にたじろく幹部達。
ノビリンク大佐が叫ぶ。
「ラムスドルフ上級大将も君側の奸だ、撃て!」
刹那、ヘーデル大佐が引き金を引いた。
胸を撃たれて崩れるラムスドルフ上級大将。
「馬鹿め、騙されおって・・・」
そうの言葉と共にラムスドルフは倒れた、体からの出血で絨毯が真っ赤な鮮血が広がっていく。
ノビリンク大佐達は、総監公印を使い偽の命令書を作成し直ぐさま近衛兵に出撃を命じたのである。参謀長などの将官は貴族で有るために完全なお飾りで、皇太子殿下の御聖断に逆らわない事を約束して事後の事は、ノビリンク大佐達に任せたのである。その為唯一ラムスドルフ総監だけが殺害されたのである。
午前10時前には次々に完全武装の近衛兵がノイエ・サンスーシ内の近衛兵総監部より、皇帝宮殿とグリューネワルト伯爵邸へと向かっていった。
帝国暦483年8月5日 午前9時58分
■オーディン ノイエ・サンスーシ 謁見の間控え室 ルードヴィヒ・フォン・ゴールデンバウム
此から行われる大事に、ルードヴィヒの脳裏には生まれて来てからの事が走馬燈の様によぎ
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