第百十九話 意外な共謀者
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「うむ。侯爵と言わず公爵でも良いぞ」
「ありがたき幸せ」
その様な話をしている間に地上車はノイエ・サンスーシ本殿車止めへと到着した。
帝国暦483年8月5日 午前9時45分
■オーディン ノイエ・サンスーシ宮殿 謁見の間控え室
ノイエ・サンスーシの謁見の間控え室に皇太子、クロプシュトック侯爵、クロプシュトック侯爵長子ヨハンに変装したリューネブルクは到着した。この日は皇帝陛下に皇太子がお願いに上がるとの事で普段の謁見は中止されていたために、普段多数居る謁見希望人の姿は何処にもなく、御茶を出す女官の姿しか無かった。面会は午前10時からで有るため、一旦此処で時間調整を行うのである。
午前9時50分フレーゲル内務尚書が現れた。彼も先頃の綱紀粛正で自らの職責を冒された挙げ句にハルテンブルク侯爵が内務次官の地位に就いたためにすっかり権力から遠ざかっていた為、今回の謀に乗ったのである。
表向きは今回の皇帝と皇太子の会談は30年近く閉居の身であったクロプシュトック侯爵が皇太子の口利きで、30年前のフリードリヒ4世陛下への非礼を詫びて、自らは隠居し息子ヨハンに跡を継がせるという願いをしに来る事と成っていた。尤もこの事はテレーゼの耳には入っておらず、更にクロプシュトックの危険性を注意する事が出来ていなかった。
帝国暦483年8月5日 午前9時
■オーディン ノイエ・サンスーシ 近衛兵総監部
近衛兵総監ラムスドルフ上級大将の元へ10人の中堅幹部が面談を求めてきていた。
「どうした?皆が皆、雁首そろえて、いったい何があったのかね?」
ラムスドルフの質問に、カール・エドゥアルト・フォン・ノビリンク大佐が、皆を代表するように話し始めた。
「ラムスドルフ閣下、上意であります」
「上意だと?」
考え込むラムスドルフに大佐が袱紗に包まれた書簡を出した。その書簡はゴールデンバウム王家の家紋である双頭鷲の文様が描かれた紙に書かれていた。大佐は書簡を恭しく読み始める。
「君側の奸、クラウス・フォン・リヒテンラーデ侯爵、毒婦アンネローゼ・フォン・グリューネワルト伯爵夫人を成敗する為、近衛師団は直ぐさまノイエ・サンスーシ宮殿及びグリューネワルト伯爵邸を包囲せよ。尚その他寵姫邸にも小隊を配備し警戒に当たれ。銀河帝国皇太子ルードヴィヒ・フォン・ゴールデンバウム」
その言葉に、ラムスドルフは目元に皺を寄せながら聞き入る。
「閣下、御聖断が下ったのです。直ちに命令を出して頂きたい」
ラムスドルフは考えを纏め反論する。
「我々は、皇帝陛下の近衛である。例え皇太子殿下のご命令とはいえ、はいそうですかと、悪戯に兵を動かす事など出来ん!500年兵を養うはいったい何の為かと考えるか」
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