3回戦7日目 決戦3
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とつけこめるもんだわ」
そこに割って入ってきたのは、凛さんだった。
「話は聞かせてもらったけど。今のはあくまでハーウェイの、西欧財閥にとっての理想よね」
「いえ。万人にとっての理想ですよ。理不尽な死が待つ世界は、誰しもが避けたいものでしょう」
「あら、資源を独占されて、生き死にまでアンタらに管理される社会が、万人にとっての理想っていうの? 生まれた子供を、平気で飢え死にさせる世界が? 十年先の未来まで、寿命までデザインされる人間が?」
凛さんが言う世界は、レオさんの語った世界とは同じものだと思えないものだった
「余計なお世話なのよ。何百何千年と今のままで生き続けたいのならご勝手に。私はそんなのまっぴらよ」
「噂通りの人ですね、ミス遠坂。国連からその将来を期待されながら、中東の武装集団に身を投じた若き魔術師」
レオさんは表情を崩さずに、凛さんに言う。
「貴女の言い分もわからないではありませんが、資源の管理は効率の良い配分をするためのもの。支配欲からの独占は行われません。僕らの支配圏の実態を見ていただければ分かると思いますが」
「ハーウェイの管理都市なら知ってるわ。階級に応じた生活が保障されてる、不安要素のない平穏な世界。どこにも行けない、どこに行く必要もない楽園。けれど、あそこには未来がない。希望も、幸せも。人はただ生きているだけだわ。娯楽あっての人間じゃない。私、見ての通り肉食だから。農場ファーム暮らしは性に合わないわ」
「ミス遠坂。それは貴女の強さがあっての生き方です。ですが、貴女は全ての人間に自分と同等の強さを求められますか?」
「ッそれは...」
「できませんね。貴女は自分の身勝手さも傲慢さもわかっている。だからこそ、その苦しみを共有できない。脱落する人間が居るのなら自分が助ければいいと思っている。だから、貴女は僕には勝てない」
「...なんですって?」
「貴女の言う幸せは狭いのです。人を救うには、まず人を捨てねばならない。支配者は必要なのです。それは貴女でも、今の僕でも無理です。けれど聖杯の力があれば可能だ」
聖杯聖杯って、人を殺してまで手に入れるものなのかよ、俺にはそんな大層なものとは思えないな。俺は屍を越えて進むと決めた。それはこの人達もだろう。だが
「レオさん、俺には貴方の考えが理解できなくもない」
「なら」
「でもだからと言って人を捨てたらそこで終わりだ。大切なものを守り戦う。それが俺にとっての幸せだ。どれだけちっぽけだと言われようと、どれだけ惨めだと言われようと、この幸せは俺にとって銀河のように広い」
「...そうですか、残念です。ですが僕はいつでも総刃さんを歓迎しますよ」
「そうならない事を祈ってるよ」
そう
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