『終焉』
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る。誠があんな状態に成るほどの何かが在るって...。でも、其れが何なんかってのは全然想像つかん。
初めて目隠し無しで此のドアの向こうに行く。少しだけ怖い気持ちはあった。未知の場所はいつでも少しだけ怖い...。
鍵を開け、閉じこめられていた部屋から出る。階段が終わると目の前に廊下を挟んで大きな部屋が在る。左右に分かれ部屋がいくつも在る。
まず目の前の大きな部屋には誰も居ないのを確認した。次に右側へ行き、奥の部屋から見ていった。誰も居ない。最後に左側の奥から。
地下のあの部屋の上は此の左側。どの部屋に当たるのか...そして其処に何が在るのか。嫌な予感しかしないのは当然だろう...。でも、そんな予感は外れてしまえと思うしかない。
誰も居ない。残るは階段横の風呂場と脱衣場が在る此のドアの向こう。ゆっくりドアを開ける。脱衣場を見渡す。白い封筒に目がいった。なんだろう。
『娘、零へ。父さんより』
え...
手紙が入ってた。
『記憶の戻らない零、父さんとやり直そうと、一緒に行こうと言ってくれた零、ありがとう。昔、娘が産まれた頃を思い出す事が出来たのは零のおかげだ。汚い人間になってしまった父さんには零が眩しい。父さんの傍に置いとくには勿体ない。先がある娘は連れてけない。自分を大事にして、何事にも本気で向き合って生きなさい。父さんは向こうで待ってるから、60年後位にまた話そう!最後に幸せをありがとう』
涙が溢れると同時に悲しみと怒りが沸き出す。きっと自ら終わらせたのだろう。
意を決して風呂場を開けた。
微笑んでいるようにも見える其の死に顔は、あまりにも死人に見えず、尚更心が潰されそうになる。
誠のケータイが振動する。組長からのメール。
『どこや!侵入成功や』
『地上1F風呂場にて死人1人。他の人間は留守』
零は、自称父さんの右手に在る銃を手にとり、スカートのウエスト部分に。こめかみに銃口を当て、撃った後に物音がしたんだろう。
サイレンサーさえ無ければ即駆けつけた!何が何でも誠に鍵を開けさせた!
そんな今更、無意味なことを思った。せめて綺麗にと、血痕を拭き取る...。
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