第四十話 結婚前
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
内乱鎮圧から数ヵ月後、14歳になったマクシミリアンは、1週間後いよいよカトレアと結婚を迎える。
王都トリスタニアは、内乱の影響もなんのその、次代の王妃の誕生にお祭り騒ぎだった。
一方、マクシミリアンはというと、妹のアンリエッタの機嫌を直す事に全神経を注いでいた。
原因は、新宮殿に遊びに来る事を週に一回に制限された事と、カトレアにマクシミリアンを取られると勘違いし嫉妬したのだろう。
「私、カトレアって人嫌いよ。お兄様を独り占めするつもりなんだもの」
とアンリエッタは、頬を膨らませてプリプリと怒っている。
「そう怒らないでよアンリエッタ。カトレアはとっても優しい娘だからアンリエッタとも仲良く出来るよ」
「知らない! お兄様なんて嫌いよ!!」
「今日はアンリエッタをずっと一緒に居るから、機嫌を直してよ」
「むぅ〜」
「ね?」
これ以上無いほど頬を膨らませて
「それじゃ、ドムやって」
「ドム?」
「足から、ゴーゴーするやつ」
「ゴーゴー? ……ああ『エア・ジェット』の事か」
『エア・ジェット』とは、マクシミリアンが『フライ』より速く飛ぶ方法を研究していたときに、試しに足の裏に空気の塊を発生させて、それを噴射して空を飛ぶ魔法の事だ。。
最初は上手く飛べずに、ホバー走行みたいな感じになっていた時に『ドムみたいだ』と呟いたのがアンリエッタの耳に入ったのだろう。
「でも、『エア・ジェット』を使った後だと靴が駄目になるんだ」
「ヤダ! ヤダヤダ! ドムやって! ドムやって! ドムやって!」
アンリエッタは床に倒れこんで手足をジタバタしだした。
「アンリエッタ……ドロワが丸見えだ」
アンリエッタを諌めたが、聞く耳を持たない。
「ヤーダ! ヤーダ!」
「まいったなぁ」
どうしたものか、と顔に手を当て改めてアンリエッタの方を見ると、アンリエッタをジタバタしながら、一瞬マクシミリアンをチラッと見た。
(……ん?)
そしてもう一度、チラッとマクシミリアンを見た。明らかに様子を伺っている。
(コイツもしかして……)
子供ゆえのしたたかさかアンリエッタは、演技で我侭に振舞うことでマクシミリアンに何らかの譲歩を引き出そうしている事に気付いた。
「アンリエッタ! 知らない間にずる賢くなったな!」
マクシミリアンはアンリエッタの頭を掴むと『ウメボシ』をした。
「いやいや! お兄様何するの!?」
「小賢しいぞ、アンリエッタ!」
軽めだがグリグリと米神を責めると。
「うわーん! お兄様ごめんなさい!」
と泣いて謝って来た。
……
アンリエッタを『
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ