暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第四十一話 家族を選ぶこと
[6/13]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

「――――私はあなたのことが、大嫌いだったのよ」

 その一言と共に、雷光は俺たちの眼前まで迫って爆発した。


*****


 母さんは、私のことなんか一度も見てくれなかった。

 母さんは、最後まで私に微笑んではくれなかった。

 母さんが会いたかったのはアリシアで、私はただの失敗作。

 分かっていた。

 もしかしたら私は、母さんにとって不必要な存在なんじゃないかって思っていたから。

 だからこうなることも、『もしかしたら』と思うくらいには予想していた。

 だけど、実際に現実になって、やっぱり辛かった。

 どれだけ覚悟しても、やっぱり私は母さんに認めてもらいたかったから。

 どんなに酷いことをされても、どんなに否定されても。

 それでも、笑って欲しかった。

 そのためなら、どれだけ傷ついても戦えた。

 自分のことを捨ててでも頑張ろうと思えた。

 そうして、たくさんの人を傷つけてきた。

 黒鐘は、そんな私に何度も手を差し出してくれた。

 裏切って、傷つけて、逃げた私を、それでも追いかけてくれた。

 そして、ボロボロになって、全てを尽くして戦ってくれた。

 私なんかのために。

 私のような、作られただけの人形に。

 それが嬉しかったから、頑張ってみようと思えた。

 母さんと、ちゃんと正面から向き合ってみようと思った。

 そしてこうして、向き合ってみた。

 ……だけど、なにも変わらなかった。

 何かを変えられるかもしれない……なんて、ちっぽけな希望を抱いて向き合ってみても、私にはなにも変えられなかった。

 母さんを笑顔にすることすらできなかった私は、やっぱり失敗作なんだろう。

 母さんを笑顔にすることのできない私は、生きる意味なんてないって思ってきた。

 なら、今の私は――――




「逃げるな」




 私の正面に、真っ黒な人影が立つ。

 すると眼前に迫る閃光は真っ二つに割れ、私と彼の左右に分かれて通り過ぎ、後ろで爆発して風圧だけ私達に届く。

 私の正面に立つ少年は、力強くその場に立ち、右手でしっかりと刀を握っていた。

 その姿は私とは正反対だと思った。

 小指突かれただけで倒れそうな私は、デバイスを武器にして握ることもできない。

 戦うことも、向き合うこともできない。

「捨てればいいってわけじゃない。 目を背ければいいってわけじゃない。 逃げればいいってわけじゃ、もっとない」

「黒、鐘……」

 それはこちらを向いてないけど、私に向かって言ってるようにも聞こえて、私は彼の背中をただ真っ直ぐに見つめた。

 彼はその背中
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ