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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第四十一話 家族を選ぶこと
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で近づき、左腰にある鞘に収まったアマネの柄を左手で握る。

 すると雪鳴の左腕を通して魔力が流れ、アマネに注がれていく。

「雪鳴?」

「親へのご挨拶にその姿は無礼」

 機械的な口調でそう言うと、アマネは受け取った魔力を元に俺の身に纏っているバリアジャケットを修復し、新品同様の姿にまで戻した。

「これでいい」

 直った服を見て満足げに頷く雪鳴。

 俺もありがたいことに、必要以上の魔力をもらったので少しは魔法の使用が可能になった。

「ありがとな、雪鳴」

「黒鐘、世話が焼ける」

「あはは……いつも助かります」

 苦笑と一礼で返すと、雪鳴は微笑しながら頷き、後ろに下がった。

 俺は改めてみんなの顔を見ていき、最後にアルフの方を向いたところで停止する。

「フェイトのこと、お願い」

「ああ。 任せろ」

「任せたよ」

 力強く頷き、俺とフェイトは玉座に向かって歩きだした。

 俺の右手はフェイトの左手を握り締め、肩を並べて、同じ歩幅で前に進む。

 玉座には誰もいない。

 だけど俺には分かる。

 玉座の先の壁。

 その更に奥から、誰かの気配を感じていた。

 隠す気のない素直な負の感情が混じった気配。

 ここで待ってるから来いと誘われているのだろう。

 罠かもしれないけど、逃げるつもりはない。

 どのみち、ここで決着をつけなきゃいけないんだ。

 これから先の、未来を生きるために。



*****


 玉座の奥に進むと、光はほとんど消えて薄暗くなった。

 壁の素材も黒一色になり、通路を表すような等間隔の光だけがあたりを照らす中、俺はよく知った鼻を突く匂いに、奥に何があるのかを少しずつ理解し始めた。

 と同時に、フェイトも少しずつ真実に近づいていることを実感しているのか、俺の右手を握る力を強めた。

 俺はそれを優しく受け止めながら歩き続け、そして――――

「来たのね」

 俺たちはフェイトの母、プレシア・テスタロッサのもとへたどり着いた。

 黒よりの紫が印象的な服装と髪。

 落ち着いた様子でこちらを見ているが、怒りや殺意のような負の感情が伝わってくる。

 だけど、俺たちが何より驚いたのは、彼女が愛おしそうに撫でる生体カプセルだ。

 科学者が生物の生体研究を行うため、老化や腐敗を無くすことができる液体。

 これを見るのは初めてじゃないし、管理局の科学系の場所に行けば必ず一台は置いてあるものだ。

 だから俺がここを来る前、鼻を突く匂い――――消毒液の匂いに、病院や研究施設を連想していたんだ。

 だけど、法律や倫理、宗教など様々な観点から人間をこのカ
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