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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第四十一話 家族を選ぶこと
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 転移魔法によって到着したのは、縦に長いカーペットが敷かれ、その先に一つだけ豪華な席が置かれた玉座の間。

 俺たちはその部屋のちょうど中央に転移され、すぐに互いの背中を守る形で丸く並び、周囲を見渡す。
 
「フェイト、ここが?」

「うん、母さんの拠点」

 俺の問いを理解し、フェイトはすぐに頷く。

 その表情は先ほどと違ってかなり険しいもので、血色が悪くなっているように見える。

「……無理しなくていいからな?」

 恐らくこれから、俺たちは文字通り全てを知ることになる。

 その全ての中に、間違いなくフェイトが傷つく真実があるだろう。

 きっとフェイト自身、そのことは分かっているだろうけど、改めてフェイトの覚悟を問う。

「ありがとう、黒鐘」

 そう言ってフェイトは両手で俺の右手を握り、

「なら、隣にいて欲しい。 私が倒れそうになったら、支えて欲しい」

 真っ直ぐな瞳と強ばった表情で、フェイトは俺にそう言った。

 俺の右手を包む両手は、手袋越しでもフェイトの冷たさと震えが伝わる。

 出会って間もない頃のフェイトだったらきっと、こうして俺を頼ろうとはしなかった。

 アルフにも甘えず、これは全て自分のせいだからと背負い込み、そしてその重みに耐え切れずに倒れてしまっただろう。

 だけど、俺がこうして隣にいて、フェイトは俺を頼ってくれた。

 ならば俺がやることは決まってる。

「いつでも支えてあげるさ。 だから、離れるなよ?」

 右手でフェイトの両手をしっかりと握り返す。

 彼女の震えを止めるために。

 俺の熱で凍えた手を温めるために。

 君は一人じゃないと、伝えるために。

「……うん」

 フェイトの表情は柔らかくなり、震えも弱くなった。

 心なしか、顔色もいい。

 ならいけるはずだ。

 向き合えるはずだ。

「みんな!」

 俺の声に反応し、全員が俺の方を見る。

「みんなは、ここで待っててくれないか?」

「大丈夫なの?」

 なのはの不安げな表情と問いは、どうやら他全員も同様の問いを抱いていたようで、なのはと同じような表情を全員が俺に向けた。

 左腕が使えず、先ほどまでの死闘で魔力も体力も微かで、バリアジャケットもボロボロな俺のことを心配してくれてるのだろう。

 改めて自分の身体を見ると、心配されてもしょうがないと言えるほど、ひどい姿だった。
 
「だ、大丈夫だよ」

 苦笑交じりに答えてしまい、みんなから冷めた目で返された。

 すみません、俺もそちらの立場だったら同じ目をすると思います。

 そんな信用のない俺に呆れた様子で嘆息を漏らした雪鳴は、俺の正面ま
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