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剣の丘に花は咲く 
第五章 トリスタニアの休日
第一話 その男執事?
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ること、先程のオカマがジェシカの父親だと言うことを知った。
 さらに先程のオカマがこの『魅惑の妖精』亭の経営者だということから、士郎がルイズにここで働きながら情報収集をしてみないかと提案した。
 最初は給仕をする女達の派手な格好に顔を顰め、否定していたルイズだったが、先程の士郎の言葉を思い出し、渋々ながらも納得した。ルイズの了承を得た士郎は、ジェシカにここで働けないかと聞いてみると、ルイズの顔と身体をジロジロ見たあと、「いいんじゃない」と言って父親であるオカマを呼んだ。
 オカ――ミ・マドモワゼル……本名はスカロンと言う店主は腰をくねらせながら近づいてくると、ジェシカから事情を聞き、ジェシカと同じようにルイズの顔と身体をジロジロ見たあと大きく頷き、ルイズの雇用を認めた。
 しかし、そこからが士郎の予想を超え始めた。
 色とりどりな露出が派手な給仕服を着た少女達の姿を眺め、これから自分が辿る未来を思い浮かべ、顔を真っ赤にするルイズを横目で眺めていた士郎の両肩を、スカロンの手ががっしりと掴む。

「ねえ。ジェシカから聞いたんだけどん? あなたってものすっごく強いんだって?」
「あ、ああ。まあ、それなりにだがな」

 音を立てて鳥肌が立つのを感じ、士郎が不自然に揺らめく瞳でスカロンを見る。スカロンはニッタリとした笑みを浮かべた。

「なら。用心棒をしない? 最近乱暴な人が多いのよ。ジェシカちゃんが信頼出来る人って言ってるし。ねえ、やってみない? よ・う・じ・ん・ぼ・う?」

 両手で身体を抱きしめ、くねくねと身体をクネらしながら頼みこむスカロンに、若干腰を引きながらも士郎は頷いた。

「ま、まあ。かまわないが」
「ほんとうっ!? うれしいわっ! もうキスしてあげる!」
「遠慮するッ!!!」

 顔を近づけてくるスカロンの両肩に手を置き、必死に顔を背ける士郎。本気で嫌がる士郎の様子に、スカロンは肩を竦める。

「もうっ照れ屋さんね。まっ、いいわ。それじゃよろしくねシロウちゃんっ!」
「あ、ああ。よろしく頼むスカ――」
「ミ・マドモワゼルッ! 店内ではミ・マドモワゼルよシロウちゃんっ!」

 尻を激しく左右に振りながら叫ぶスカロンに、士郎は本気で腰を引かせながらも手を差し出し握手する。
 
「わ、分かった。よろしく頼む。ミ・マドモワゼル」
「ええ。よろしくねシロウちゃんッ!!」



 その後、用心棒の制服よと、フリフリのフリルがついたショッキングピンクのタキシードを持って来たスカロンを丁寧に断り。まあ……確かに見た瞬間関わり合いになりたくなくなり、さっさと店から逃げ出したくなるような服で、暴力を振るわず追い出せると言う点では、用心棒の服としては最高かもしれないが、大切な何かを捨ててしまいそうな危険性が
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