第五章 トリスタニアの休日
第一話 その男執事?
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る笑みを浮かべると、少女は二人の様子を見比べた。
「ふ〜ん……まっ、いいけど。なら一緒についてきて。ご馳走してあげる」
「お、おい。だからちょ――」
「ジェシカよ」
先を歩いていた少女……ジェシカはくるりと振り向き、士郎に身体を向けると腰に両手を当て、胸を張った。胸を張った瞬間、先程士郎が感じた豊かな胸がプルンっと揺れる。
「あたしは名前はジェシカ。あなたは?」
勝気な、しかし魅力的な笑みを浮かべるジェシカに、士郎も引き寄せられるように笑みを浮かべ応えた。
「衛宮士郎だ。よろしくなジェシカ」
ジェシカと名乗る少女について行った先にあったのは、『魅惑の妖精』亭という宿屋だった。
中に入ると、きわどい服装をした少女達がテーブルを拭いたり椅子を動かしたり忙しそうに働いていた。動くたびに短いスカートから覗く太ももや、大きく開いた胸元が揺れ。男なら思わず目が追ってしまいそうな光景が広がっていたが、士郎の視線はその刹那の美景を追うことはなかった。別にルイズの教育的指導が怖かったワケではなく、ただ単にそれどころではないモノ(・・)が士郎達の目の前にいたからだ。
「な、何だこいつは」
オカマだ。
「ヒッ! な、何アレ!? 男? 女? って言うか人間なの? 新種の亜人じゃないの?!」
オカマがいた。
男性ホルモンがムンムンと薫る分厚い胸板には胸毛がこれでもかと言うほど茂り、大きく胸元が開いた服から溢れている。髪はオイルでテカテカと輝いている。見事にパックリと割れた顎には、何かを挟めそうだ。近づかないでも臭う香水の香りで頭が痛くなってしまう。
「ミ・マドモワゼル。ちょっと一席借りるわよ」
「あらジェシカ? 随分遅かったけど、どうかしたの?」
化けも――オカマ……ミ・マドモワゼルは、腰をくねりくねりさせながらこちらに近づいてくる。思わずシロウは背後にルイズを庇い、数歩後ろに下がる。
「まね。最近しつこい商家の長男がいたじゃない。そいつに絡まれてるところを後ろの色男が助けてくれたのよ。その御礼をしたいから何か持ってきてもらっていい?」
「あらまあっ! それは大変だったじゃない! そういうことならちょっと待ってなさい」
ミ・マドモワゼルは背を向けその巨大な尻をフリフリと振りながら去って行く。その後ろ姿を出来るだけ目にしないよう、士郎とルイズは顔を思いっきり背けている。首をギリギリと捻っている士郎達の腕を引き、ジェシカは士郎達をテーブルにつかせると、向かいに座った。
何とか気を取り戻した士郎は、出て来た食事(持ってきたのはオカマではなかった)に舌鼓を打ちながらジェシカと話しを始めた。その中で宿屋の一階で居酒屋を経営してい
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