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剣の丘に花は咲く 
第五章 トリスタニアの休日
第一話 その男執事?
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だった……。







 暮れゆく街の中央広場の片隅に、見るからに重苦しい雰囲気を放つ二人組がいた。鮮やかな桃色の髪を持つ少女は、ペンキが剥げかけたベンチに力なく座り込んでいる。その横に立つ男は、項垂れた様子の少女を冷めた目で見下ろしていた。

「どうして賭博場にいたんだお前は」
「うっ……その……ね。シロウが一人で服選びして暇だったから、ちょっと外に出てみたのよ。そしたら、汚いお店から出て来た男が『金が三倍になった』みたいなこと言ったのを聞いたの……」
「で?」
「……だから、その……四百エキューじゃ少なすぎると思って」

 ベンチに座る少女は、隣に立つ男を涙に潤む目で見上げている。そんな少女に対し、男は変わらず冷めた視線を向けるだけであった。

「それで資金を増やそうと賭博場に……ということか?」
「だ、だって……その……だって……」
「……」
「ま、前にタバサが賭け事してたとこ見たことがあるんだけど……あの子簡単に勝ってたから……わたしにも出来ると思って……その……」

 両手を使い、少女は過去に見た賭け事の成功例を説明する。

「タバサが簡単に勝ってたからといって。お前が勝てると言うわけじゃないだろ。そもそも、どうやったらあんな短時間で、四百エキューもすることが出来るんだ」
「どうやってって……一度に全部掛けたのよ」
「何で一度に全部賭けたんだ」
「……ちまちま賭けるのが面倒だったのよ」

 男……士郎の視線の先には、力なく顔を地面に向け落ち込んだ様子を見せる少女……ルイズの姿。
 視線の先のルイズの格好は、いつもの魔法学院の制服姿ではなく、士郎が自費で購入した地味で粗末な服装に変わっていた。隣に立つ士郎も、いつもの甲冑姿ではなく、同じように粗末で地味な服装に変わっている。それだけでなく、いつも腰に差していたデルフリンガーは、今は一人? 悲しく魔法学院でお留守番であった。
 地味な格好で目立たず情報収集を目的にこんな格好をした二人だが、しかし、二人共地味な服装に対し中が全く釣り合っていないことから、何かしらちぐはぐとした違和感を感じさせ、逆に人目を引いていた。その証拠に、周りを歩く者の中に、チラチラと二人を見ている者達がいる。俯いてブツブツ呟くルイズを、凍えるような冷たい目で見下ろしていた士郎だったが、疲れたように溜め息を吐くと、日が沈み始め、赤みを帯び出している街に視線を移した。
 
「言っておくが、金は貸さないぞ」
「なっ何でよシロウッ! 確かに全部すってしまったわたしが悪いけど。これは姫様からの命令なのよっ! ちょっとぐらい貸してくれたって」
「お前に金を渡したら、目を離した隙にまた失くすかもしれないからだ」

 指を突きつけ、一言一言力を込めて言う士郎に、ルイズはし
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