第百二十四話 夏休みの宿題その七
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「あのことから」
「はい、一つの絵に余計なものを描くよりは」
それよりはというのだ。
「もう一枚描こうと」
「そうした考えなんだ」
「そうです、ですから」
それでというのだ。
「私はもう一枚描きました」
「今の絵を」
「そうしています、夕方までには」
「その絵もだね」
「描き終わっているでしょうから」
だからだというのだ。
「それで夜は安心してです」
「休めるんだね」
「それが出来ます」
「夜に終わるといいね」
「いつも描くのは速いです」
小夜子さんは微笑んでこうも話した。
「有り難いことに」
「そういえば小夜子さん筆は」
書道のそれもとだ、僕は尋ねた。
「速いよね」
「そうです、やはり筆をいつも使っていますと」
「それに慣れているから」
「速いと思います」
そうだというのだ。
「自分でも」
「そこは慣れなんだね」
「実は鉛筆を握って書きはじめた時には」
「もうでなんだね」
「筆も使っていました」
そして書いていたというのだ。
「書道も」
「小学三年とかじゃなくて」
「一年の時には。そして書道の時間以外にも毎日」
「毛筆で書いていたんだ」
「そうしていました」
「だから字も上手で」
僕は小夜子さんの字を知っている、有段者だけはあるものだ。
「それに速いんだね」
「字は練習しますと」
「練習するだけなんだ」
「奇麗になります」
そうなるというのだ。
「ですから」
「それじゃあ」
「はい、書いていけばいいのです」
「絵もそうだっていうしね」
「字もです」
「書いていけば」
「上手になります、ただ」
ここでだ、小夜子さんは口調を少しきついものにさせてこうも言った。
「書道の先生は字の誤り等を指摘してくれますが」
「それがお仕事でだしね」
「はい、しかし立派な先生は字の上手下手をけなしたり笑ったりしません」
「人の字を嘲笑ったりするなってこだね」
「それは字を書く以前です」
そのレベルの話だというのだ。
「人として間違っています」
「そうだね、確かに」
「嫌いな相手でもその人の字を嘲笑するなとです
小夜子さんはさらに話してくれた。
「両親に言われました、他の方の字より」
「自分の字を」
「見ろと」
「人のふり見てだね」
「我がふりということですね」
「そうだね、本当に」
僕も頷いた、そういえば最近ネットでやたらと愛国を叫ぶ人にそんな人が多い。他人の差別を批判しつつ自分は汚い差別用語で文章を書くのはジョークだろうか。
「まずはね」
「自分自身ですね」
「自分が奇麗な字を書いて」
「それからだね」
「ですから私もです」
「他の人の字はなんだ」
「絵も茶道も華道もです」
お家のお仕事、やがて
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