ダン梨・K
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覗き込みにくる。というか馬乗り状態だ。俺が乗られる方だけど。
少女はωみたいな口の形で至近距離から俺を覗き込む。垂れてかかる少女の青白い髪がくすぐったい。
「車輪の回る音、不確定性の波。浮いて沈んで跳ねて回って、君はルーだね!」
「いえ、俺はバミューダですけど!?」
「じゃあバミューダのルーだ!お祈りはしたけどまさか今日現れるなんて、これって運命?」
「すいません、意味が分かりません」
これが電波少女ですか。顔は可愛いけど正直意味が分からなくてちょっと怖いですわ。
「うーん、ルーって冒険者だよね?どこファミリアなの?」
「え?あーと、ヘスティア・ファミリアですが……」
「ヘスティア様のファミリアか〜。うん、わかった!じゃあね、ルー!」
「いやだから俺はバミューダであって……」
「バミューダのルーだね!分かってるよ!」
そんなフェイのキムみたいな言い方されましても。まぁ確かにフェイはキムだったけど、俺の前世はルーじゃないし大柴でもない訳ですよ。しかし人の話を聞いてくれない角生えてる系少女は笑顔でぴょんと跳ねて対向側の家の屋根に飛び乗った。
「わたしコルヌー!次に会ったらもっと君の事知りたいな!」
一方的にそれだけ告げた少女は、そのまま屋根の上を走り去っていった。
シルさんを探している途中に発見した少女を助けたら背後に忍者が現れた上に助けた少女に変な名前をつけられた挙句現場に取り残された。何を言っているか分からねーと思うが俺も何があったのか分からねー。取り合えず思ったのは、素直にベルと一緒に行った方がもっとスッキリした結末を迎えられたのではなかろうかということ。
俺の手元に残ったのは謎と3、4つの小さな魔石と謎の虚脱感だけであった。
なお、その日の晩に今日起きた出来事を聞かれて素直に「女の子助けたら変なあだ名付けられました」って言ったらヘスティアに「ボクという主神がいながらこの浮気者っ!」ってビンタを喰らい、ベルには「僕と神様が死にそうになってる時にそんなうらやまけしからんことしてこの裏切者っ!」って腹パン喰らった。
冤罪だと言いたい気持ちもあったが、二人を放置していたのは事実。これも天罰かと考えることにした俺は、本日二つ目の梨をカットして二人に振舞うのであった。
本日は実に他人に振り回される日であった。
願わくば明日から、俺は振り回す側でいたいものである。
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