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ダン梨・K
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ていいっすか!?」
「名前?名前……ごめん、俺も俺の名前知らねー。次に会った時に君が名付けてくれよぉ〜!」
「はい?」

 最後にとんでもない話を投げつけられて唖然とするなか、優しいお兄さんは人混みに紛れて消え……消え……。

(身長高い上に金色の仮面が目立ちすぎて微妙に視界から消えてくれねーだとッ!?)

 人の壁が邪魔で追いかけても追いつくのは無理だったが、消えるのに1分かかった。
 世の中いろんな人がいるものだ。原作じゃあんな目立つ人見たことなかった奇人を前に、俺は思わずいつもよりちょっぴり高級な洋梨を齧りながら「名前何にしよう。トンヌラ?ああああ?ンパカパポコルペヌ?……ブチギレられたら困るから真面目に考えよう」と思うのであった。



 = =



 暫く街をぶらつきながら新しい梨を買って屋根の上で下を眺めていると、騒ぎが始まっていた。
 湧き上がる悲鳴と戦闘音、怒声や雄叫び。知性の感じられない獣たちの声。

「闘技場の気配に便乗して反対方向からも気配が出てきてるねぇ……闘技場の方なら多少は俺も力になれるが、便乗犯は今の体では無理か」

 あっちはロキ・ファミリアがどうにかしてくれる筈である。もう片方もまぁ、みんなが勝手に何とかするだろう。依然として、俺がこの世界ででしゃばる必要性は皆無だ。
 しかし、実際問題どうなのだろうとも思う。原作じゃ死者はゼロだったっぽいけど、俺という存在によるバタフライエフェクトの可能性は否定できない訳で。かといって、俺までトマト事件の巻き添えになったことを鑑みるに、なんやかんやで原作の流れになるのではないかとも思える。

 ただ、その原作の流れというのが問題だ。俺はベルと同じ目に遭ったのである。という事は、今回もまた同じ目に遭ってしまう可能性はある。これだけ距離が離れれば流石に因果関係までは繋がらないだろうが、俺のところにも何か来る可能性はある。フレイヤがベルに魔物をけしかけるついでに、鬱陶しい蠅を一匹潰してみるとか。あれ、それってハードモードじゃないですかね?

 ……そういえば、怪物祭の際にベルはシルさんの財布を預かっていたが、結局のところシルさんを見つけないままに争いに巻き込まれた。ネットじゃ確かそれのせいでシル=フレイヤ説や、フレイヤと繋がっている説が出ていた筈だ。
 あの人、今頃何してんだろう。シルさんって特に精神の内側ヤバそうだし、知的好奇心が働かないでもない。思い立ったが吉日か、と俺は立ち上がって家から家へと屋根を伝って飛ぶ。パルクールと言いたいところだが、きっとこの世界にパルクールなんぞと言う洒落た言葉はないだろう。途中ギルドの人もちらっと見かけたが、無視した。

(怪しいのは豊穣の女主人周辺、或いはバベル。というかそれ以外に心当たりないな。
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