ダン梨・K
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怪物祭、嗚呼怪物祭、怪物祭。
どうも、常時魔の海域ことバミューダです。ベルの新武器イベントについて俺に出来ることは正直何一つとして存在しないと思われるので「勝手に回って後で合流しようぜ!」と適当な事言ってベルと堂々と別れました。そして一人で普通に祭りのモンスターを見て回ってます。
「ねーお兄さんや、こいつ弱点は?」
「あー、そいつな。牙が目立つから噛み付きが怖いって言われがちなんだけど、実際には全身で突っ込んで爪で引っ掻かれるのが一番マズい。飛び掛かる寸前に腰が低くなるから、それを躱して攻撃だね。確か24層くらいから出るね」
「ふんふん成程。横の羽生えた奴は?」
「降下しながら襲ってくるからタイミング合わせて迎撃するだけだよ。耐久も攻撃力も低いんだけど、他の魔物と同時に出てくると詠唱とか潰されて激ウザだよ。19層限定で魔石的な稼ぎも悪いけど、倒さないと余計に面倒なんだよなぁ」
「手早く処理してーな。メモメモっと」
現在俺は、ガネーシャ・ファミリアの人と思われる黒いコートに金色のガネーシャ仮面を付けた死神みたいな気配を放つ親切なのっぽのお兄さんに魔物の解説をしてもらっている。お兄さんの外見情報と提供量がパない。博識な仮面お兄さんは魔物の要点を押さえて登場する階層まで適切に教えてくれる。おかげで次の層の予習もばっちりだ。
「さて、今日登場する魔物は大体見たかな。少年よ、これからも冒険に励みたまえよ!」
などと勇ましい事をいう仮面さんだが、肝心の笑顔がまるで緊張感のない柔らかいものである為にミスマッチである。
「どもっす。出世したらメシ奢りますね!とはいっても、俺の周りの大人たちは『冒険者は冒険してはいけない』って口を酸っぱくして言ってましたけどねー」
「それは職業としての冒険者だね。本当に冒険する冒険者ってのは、未知の世界に好奇心を膨らませる命知らずな馬鹿の事だよ」
「馬鹿の冒険者はお嫌いっすか?」
「馬鹿な冒険者は嫌いだけど、馬鹿の冒険者は好きだよ。俺もそーだし」
にへら、と笑う親切なお兄さんの言いたいことが、なんとなく分かる。前者は屑で、後者はベルみたいなのだ。そして未知への探求とは常に危険と隣り合わせにある。死んでほしくないのは他人の事情でしかない。
冒険者とはつまり、広義において態々死に近づく馬鹿なのだ。だからこそ、そこに楽しさがある。考えてみれば俺は、ダンジョンで魔物研究するのもベルと計画練るのも、イタズラっ子が仕込みをするような高揚感をいつも覚えていた。第二の人生で何しようかと思っていたが、案外一番楽しいものは近くにあったのではなかろうか。
「……じゃ、俺は用事があるからもういくねー。大通りの屋台美味いのいっぱいあるから行ってみなよ〜」
「あっ、ちょい待って!名前聞い
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