巻ノ百五 祖父との別れその七
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「一体何時から生きておられるかわからぬとは」
「うむ、実は修行にも付き合ってもらいましたが」
都においてだ、筧の修行にそうしてもらった。
「しかし」
「それでもですな」
「拙者もあの御仁の歳は知り申さぬ」
「真田殿も」
「一体幾つなのか」
それこそというのだ。
「残念ですが」
「左様でありますか」
「しかし長生きは事実」
「ではあの御仁の様に生きることは」
「よいかと」
「ではまさに仙人の様にして」
「長生きをされて」
「殿もこ奴も他の十勇士もです」
猿飛を笑みを浮かべて見て述べた。
「ここで見守ります」
「それでは」
「さて、ではこれで」
「また機会があればお会いしましょうぞ」
「さすれば」
双方笑顔で言葉を交えさせてだ、そのうえでだった。
幸村は猿飛と共に伊予を後にした、そのうえで然るべき場所になってそうしてだった。
二人は九度山に戻った、すると幸村はこれまで以上に武芸と書に励む様になりさらにだった。
座禅も増えた、十勇士達は休む間もなく心身の修行をこれまで以上にしている幸村にこう問うた。
「あの、どうもです」
「近頃の殿はやはり」
「真田の秘奥義をですか」
「それを備えんとされていますか」
「その通りじゃ、お主達も強くなった」
それぞれの修行を経てだ。
「しかしお主達だけでなくじゃ」
「殿ご自身もですか」
「その様にされてですか」
「そのうえで、ですか」
「備えられる」
「来るべき時に」
「そう思ってな」
それでというのだ。
「父上にもその巻物を授かりたいと思ってじゃ」
「これまで以上にですか」
「修行に励まれていますか」
「その秘奥義を備えられる為に」
「そうお考えですか」
「うむ」
その通りという返事だった。
「今の拙者はな」
「では、ですな」
「大殿にも申し出られますか」
「真田忍術の秘奥義」
「それを授けて欲しいと」
「明日父上にお願いする」
実際にというのだ。
「そしてな」
「巻物を授けられたら」
「その時はですか」
「その秘奥義も以てして」
「戦われますか」
「そうする、お主達も強くなったしじゃ」
それにというのだ。
「次は拙者じゃ」
「ううむ、流石は殿です」
「ご自身まで強くなられ様とは」
「我等十人だけでなく」
「ご自身もとだ」
「さもなくてどうする、真田は小さき家故にな」
だからこそというのだ。
「いざという時は将も戦ってきたわ」
「槍や刀を取られ」
「忍術も使ってですな」
「そのうえで戦われていましたな」
「その様に」
「そうじゃ、だからな」
それ故にというのだ。
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