『正体』
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次の日、男は私を『君』では無く『零』と呼んだ。同時に『誠(セイ)』と呼べと言われた。
頭が痛い。偏頭痛が酷くなる。記憶が無いのに、直感的に味方だと確信が在った。此の人は誰?そこまではマダ出ない。
『マダ思い出さんか?』
今迄と違った雰囲気で話し出す。あんなに偉そうだった人が急に心配するような物言いになる。
『...教えて!まず、誠、それは自分と何の関わりがある人?』
『昔...罪や傷みを共有した仲間で在り、兄妹やった...』
『...今は何で此処に?』
『たまたま...事件起こした話聞いて零の名前聞いて...あの男に取り入ったんや』
『...組長は?此処に居ること許可したん?』
『零を助ける為なら手段は選ばんでええって言われてる!...って...えっ!記憶...?』
『ほんまや!今ふっと思い出してた!昔のこと!誠!ほんまに誠なんやなぁ...男前んなって...ビックリしたわ...』
『こっちのがビックリするわ急に記憶戻るとか!今迄演技やったんか思たし』
『そんな演技できんわ女優ちゃうんやで』
『せやな。誰よりも嘘吐くん下手な零に演技は無理やんな...』
『って、昔のテンションに戻ったらあかんよな。どうしたらええん?下手なことしたら誠まで殺されるし』
『それはない。何があっても俺を殺すことは出来ん。組長より下の奴やけん俺殺したら殺されるって解ってるし』
『でも、万が一...もう誰も失いたくない。しかもこんな形やけど再会できたのに...』
『落ち着け。とにかく俺らとの昔だけじゃなくて、他の記憶は?怜が事務所を襲撃して事件のアタマ殺したけど周りの奴に殺されたんだろ?その敵討ちなんだろ?』
『...怜って誰?殺したけど殺された?そんな大きな事件になったんならニュースとかなるよね?栗林の発砲事件ですらニュースなったやん』
『残念ながらそんなに騒動にはならんかったんや。それに、ヤクザ同士ならともかく、怜は一般市民やし...此処の警察も面倒事嫌いやからなぁ...』
『...怜...』
『あぁ、零の仲間。聞いた話じゃ賢くて冷静で、1人で殺人犯す為に事務所乗り込むタイプじゃない。だから調べた。...海斗は思い出さんか?』
『...海斗...っつ!頭、メッチャ痛い...海斗...怜...っ!』
意識が遠のいた瞬間あかん思た。起きたら夜やった。
監視カメラ見てたんか知らんけど、起きてすぐ誠が来た。
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