第二十四話:プレデター
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意味し、アラスカ条約にかなり前から違反していたことになる。
そんな物騒なものが国家代表候補生並びに軍属のISに搭載されている事が判明すれば、国際世論から非難が集中するだけでなく、ISコアの没収等といったペナルティをも免れない案件となる。少なくとも十年はドイツは揺れることになり、欧州事情はフランス、ドイツのスキャンダルを皮切りに混沌化していくことになるだろう。
食事を適当に済ませたラシャは倉庫から持ち出してきたジェリカンに視線を向けた。
「さあて、隠滅するもん隠滅したらとっとと逃げますかね」
その時、食堂への扉が勢い良く開いた。VTシステムによって暴走したシュヴァルツェア・レーゲンが足を引きずりながら食堂へ入ってきたのだ。エネルギー切れによる活動限界を迎えつつあるのか、左半身がアイスクリームのように溶けかけていた。
「よう、もうこの基地に居る人間は懲罰房の奴らと俺だけだぜ」
半身が融解しているのにも拘らず、剣を手放さない姿勢に模倣の徹底ぶりを垣間見たラシャは右手を腰のナイフに添え、相手の出方を待った。
しかし、相手の行動はラシャの予想を上回っていた。シュヴァルツェア・レーゲンは急速にその形を液状化させると、飛矢のようにラシャに襲いかかったのだ。咄嗟にナイフを横に薙ぎ払ったが、相手が悪すぎた。そのままナイフごと包み込まれたラシャは何とか藻掻くも、泥とも粘液ともつかない謎の物体は、彼の抵抗を物ともせずに、遂に全身を包んでしまっていた。
「くそ!くそっ!悪あがきしやがって!!」
その時、急に拘束が解けた。先程まで全身を余すこと無く包もうとしていた無形の枷は、只の水のように体表を伝い、床に広がっていく。
──エネルギーが切れたのだろうか?そう思い浮かべたもつかの間、液状化したボディは再度カタチを取り戻し、ヒト型のシルエットを作っていく。
「……俺、か?」
その姿はISにあるまじき男性を模ったもの、まさしく編田羅赦本人の模倣に他ならなかった。同時にそれは、恭順の意を示すように頭を垂れた。
「……」
ラシャは恐る恐る近づき、自らを模したVTシステムに触れた。すると、再び形を変えてラシャの体に優しくまとわりつき、ラシャの体内に埋め込まれたコアに格納された。
「良いじゃないか」
ラシャはISについてはズブの素人だ。無論、本人もそれは承知していると同時に関わりを持とうとは思ってもいない。だが、この新たに手に入れたモノは、自らの悲願成就を大いに助けるものであり、忌々しい篠ノ之束の機嫌を大いに損なうものであるということが確信できた。
胸に埋め込まれたコアが脈動し、脳に直接情報を叩き込んでくる。視覚、聴覚、触覚……etc。あらゆる感覚を通して解説がなされる度に、仕事における応用のアイ
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