第二十四話:プレデター
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エレナは軽く嘆息すると、ホルスターから拳銃を抜き、一人ひとりを射殺し始めた。今更こんな役立たず共を抱え込む余裕はないからだ。
そもそも、反旗を翻した時点で自らの首を捻り切ったも同然の状態なのに、未だに自らに未来があると浅ましくも考えているのだ。
嫌々従わされてきた兵たちに対しては同情の余地は無いわけでもないが、基本的に自己責任で詰め腹を切らされることは目に見えている。どの道待ち構えているのは死だ。それを受け入れられないのであれば最早邪魔なだけでしか無い。
「早く姿を見せろ侵入者。ラウラを殺したのであれば私が相手になってやる」
皮肉なことに、今の状況で心の拠り所足り得る存在は、この状況の発端である侵入者の襲撃だった。
最初の襲撃から一週間、最早黒兎部隊以外の同胞は分裂し、猜疑心に負けて虚しい同士討ちに明け暮れ始めた。極限状態に絶えきれずに自殺するもの、発狂して同士討ちをするもの、襲撃者と間違われて撃たれるもの、部屋にバリケードを築き上げて引きこもる者など様々だ。
このような状況になっても、侵入者は狩りを止めなかった。今となっては完全に個々のグループは孤立しており、最早この基地に生きている兵士は何人居るのかさえ分からなくなっていた。
奇妙なことに、黒兎部隊だけは相変わらず侵入者の毒牙にかからなかった。それだけでなく、整備員の類を始めとしたIS関係者もまた一人も欠けること無く生き延びていた。
──狙いは我々ではないのか?
エレナの脳裏に最悪の光景が過る。瞬間、黒兎部隊の仮の戦闘指揮所に歩兵達がなだれ込んできた。全員が自動小銃で武装しており、その狙いは全員を逃すこと無く捉えていた。
「何の真似だ?」
動ずること無く睨みつけるエレナ。しかし、返礼は銃声だった。臨時の副官が頭蓋骨の骨片と脳漿を撒き散らして大の字に倒れる。
「貴女達を拘束させて頂きます」
意外にもその声は背後から聞こえた。エレナは自らの正気を疑った。裏切り者がよりにもよって自らが統率する部隊から出てしまったことによるショックで、しばらく反応が出来無かった。
ISが生まれてから、周囲に居る軍人や官僚には女尊男卑に染まった傲慢な女や気弱な男が圧倒的に増えてきた。実践の果てによる結果が総てを決める世界を生きていたエレナは、性別で差別するそんな連中を軽蔑しつつ、今日の今日まで生きてきたのだ。
よりによって、そんな連中に迎合する不覚者が身近にいた。そしてそれに気づかなかった事が何より許せなかった。
裏切り者は、部下たちから装備しているISを回収して此方へ近づいてくる。
「た、隊長。専用機を預かります」
裏切り者と目が合った。最初の襲撃の際に怯えた表情を隠さなかった隊員だった。彼女はその時と同じ表
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