第百十六話 決闘への序曲
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もない」
「いえ、姉上のご友人がお困りの時、黙って見ている訳には参りません、日頃から何かとお世話にもなっております。此処は一つお役に立たせて頂きたい」
「ですが・それは・」
「ご心配なくこう見えても軍人です武器の扱いには慣れております。相手の決闘者がプロだと言うなら、私も戦闘のプロです。決して後れを取るような事は有りません。それとも子爵夫人は私の実力をお疑いですか?」
「いいえそう言う問題ではなく」
ドロテーアは心配顔のアンネローゼの事を言っているのであるが、ラインハルトは未だ判っていない。その心の内をキルヒアイスは推測し心配している。
「ラインハルト様、ならば私が」
アンネローゼは、キルヒアイスの言葉に更に憂いが深くなる。
「生憎だがキルヒアイス、此は先に手を挙げた者に優先権がある」
この様な話の中。ラインハルトがシャフハウゼン子爵家の決闘代理人を引き受ける事になった。
帝国暦483年7月22日
■オーディン
ラインハルト・フォン・シェーンヴァルト大尉が、と言うより、グリューネワルト伯爵夫人の弟が、シャフハウゼン子爵家の代理人として決闘に望むという噂は、たちまちの内にオーディンの貴族社会に広まった。
サロンではその噂が絶えない。
「お聞きになりましたか?れいの決闘の件」
「グリューネワルト伯爵夫人の弟御が決闘者の真似事を為さるとか」
「まあ、男爵といっても、所詮は帝国騎士《ライヒスリッター》上がりの俄男爵、その様な下賤な真似が似合いと言う事」
「違いない」
「あははは」
帝国暦483年7月22日
■オーディン ノイエ・サンスーシ ベーネミュンデ侯爵邸
「お母様、グリューネワルト伯爵夫人の弟が、ヘルクスハイマー伯爵と決闘するそうですね」
「あら、その話を何処から聞いたのかしら?」
「お父様から、聞きましたわ」
「全く陛下も駄目ですね、子供に決闘の事を話すなんて」
「駄目なのでしょうか?」
「貴方には、血なまぐさい事を見させたくないのですよ」
「それにしても、ヘルクスハイマー伯も相変わらずですわ、先頃の綱紀粛正で無理を通す馬鹿な者達を陛下が懲らしめましたのに、喉元過ぎれば熱さを忘れるかしらね」
「マルガレータが可哀想ですわ」
「本当ですわ。あの様な父親では、マルガレータの教育も憂いますわね」
「それなら。お母様、お父様に頼んでマルガレータを預かりましょうよ」
「御学友として迎え入れるのも良いかも知れませんわね」
「そうなると、妹みたいで可愛いですわ」
「そうですわね」
「けど、グリューネワルト伯爵夫人もお気の毒ですね」
「そうですね。彼女も弟御が決闘では気が気でないでしょうね」
「お母様、
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