第百十六話 決闘への序曲
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爵家が事業として投資していた地方の鉱山から、天然ハイドロメタル鉱脈が発見され、その採掘権を大貴族であるヘルクスハイマー伯爵が横取りを目論んでいて一方的な争いを仕掛けられていると言う。
「大体ヘルクスハイマーは門閥貴族の一員である事を鼻にかけた嫌な奴なのよ。強欲で隠見で好色で」
2人して苦笑いのラインハルトとキルヒアイス。
「あら。兎に角嫌らしい奴だって事は重要よ。大体夫人に言い寄るときだって、強引で権力ずくで手段を選ばなくって」
「んん」
アンネローゼが子供に変な言葉で言わないでと咳払いした。
「あら、二人にはこんな話は早かったかしら、あっははははははは」
相変わらず豪快なマグダレーナである。
「それはともかく採掘権の事は裁判になれば決着が付くでしょう」
「其処が嫌らしい所よ、正式な民事裁判になれば勝ち目がない事が判っているから無理矢理決闘で決着を付けようと申し込んできたのよ」
「決闘?」
「伯爵に限らず、大貴族の常套手段なのよ言いがかりを付けて決闘に持ち込み無理を通すのは、勿論その貴族自身が手を汚す事は無いわ、それを職業としているプロの決闘者達が居て代理人として戦うの」
「それでは子爵ご自身が戦う必要はない訳ですね」
「所が問題は、シャフハウゼン子爵家の代理人になる決闘者が居ないの。そうでしょ?」
マグダレーナの言葉にドロテーアは愁いを帯びた顔で少し頷いた。
「どうしてそんな?」
ラインハルトの質問にマグダレーナが答えた。
「ヘルクスハイマーとその後ろ盾のリッテンハイム侯爵家が手を回したのよ。シャフハウゼン子爵家の代理人に成らないようにって。全く汚いったらありゃしない!」
「必勝を期した訳か」
「それでどうなさいますの?」
「それが、代理人を立てられない以上、主人が自ら立ち会うか、放棄して相手の要求を受けるか。ですが、ご存じのように、主人は薬用植物の研究と旅行記の読書が唯一の楽しみの大人しい人です。荒事は全くの苦手で」
「では、相手の言いなりになるのですか!」
「ラインハルト」
「済みません」
ドロテーアが諦めモードなので、ついラインハルトが強く問い詰めたようになった為、アンネローゼがそれを窘めると、ラインハルトにしては珍しく素直に謝った。
「此方こそ申し訳ございません、折角お会いになれたのに この様な私事お耳汚しでございましたでしょう。さっ積もるお話しもございましょうし、私たちはご遠慮致しましょうか」
「お待ちください子爵夫人」
「え?」
「その決闘の代理人とは誰が成っても良いのですか?」
「ええ」
「ならば私が引き受けましょう」
「え・・」
「え!」
「まあ、素敵」
「ラインハルト」
「ラインハルト様」
「そ・・そんな・・滅相
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