第七話 今との差異
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てくれてもいいですよ」
「ほ、ほらよ!!」
凰香がそう言うと、天龍が紙の束から二枚ほど引き抜いて紙の束を凰香に返してくる。凰香がそれを受け取ると、天龍が鬼のような形相で凰香に言ってきた。
「いいか!!それはメチャクチャ大事なものだ!!絶対になくすんじゃねえぞ!!あと、そんな束で軽々しく寄越すな!!もっと丁寧に扱いやがれ!!」
口調は荒いが、凰香に注意してきていることは理解できる。そのため、凰香は何も言い返さずに黙って聞いていた。
天龍はそれだけ言うと引き抜いた紙を大事そうにポケットにしまい、執務室に放置されていたガラクタの入っていた袋を?んで勢いよく立ち上がった。
「おい!あとはこれを持っていけばいいんだな!」
「……ええ、そうですよ」
食いかかるような勢いの天龍にそう返すと、天龍は袋を肩に掛けて勢いよく執務室を飛び出していった。その際、一瞬だけ天龍の何故か満面の笑みが見えた。
「何なんでしょうか?あの人は」
「何でしょうねぇ〜」
凰香の言葉にとぼけるように答えた龍田は、くすくすと笑いながら同じように袋を持って執務室を出ていく。その際の足取りは心なしか軽いように見えた。
すると天龍と龍田と入れ替わるように艤装の点検に行っていた時雨、榛名、夕立の三人が執務室に戻ってきた。
「凰香。
今二人とすれ違ったんだけど、二人の表情が心なしか嬉しそうに見えてね。何かあったのかい?」
執務室に戻ってきた時雨がそう言ってくる。凰香は紙の束をヒラヒラさせながら言った。
「これを渡したら、急にあんな感じになったのよ」
「何だい?それ」
「さてね」
凰香はそう言って紙の束を眺める。すると、端の方に小さな文字が書かれていることに気がついた。
そこにはーーーー
『間宮アイス引換券』
ーーーーという文字が書かれていた。
「ガキね」
「ガキだね」
「子供ですね」
「子供っぽい」
凰香の後ろから紙の束の文字を見た防空棲姫、時雨、榛名、夕立がそうつぶやく。
このようなものだけで喜ぶとは、彼女達もまだまだ子供である。
いや、『彼女達だからこそ』このようなもので喜ぶのだろう。
「…………」
「どうかした?」
凰香が無言で紙の束を眺めていると、防空棲姫が聞いてきた。
凰香は紙の束をポケットに入れて言った。
「……なんでもない。それよりも早く掃除を終わらせよう」
凰香はそう言って、そばに置いてあった袋を?んだ。
………
……
…
ガラクタが詰め込まれた袋を全てごみ捨て場へ捨てたことで掃除は終了となった。
凰香が最後の一つを
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