第六章 Perfect Breaker
希望を繋ぐ
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ある流派を。
(見よう見まねの―――――)
「あ?」
「不動拳!!!」
ドンッッッ!!!
蒔風の気合と共に、ネガ電王が吹っ飛んだ。
刃は当然、響どころか手前の蒔風にすら届いていない。
大通りの中心、車線をわける中央分離帯のブロックに突っ込んだネガ電王は、仰向けのまま倒れていた。
瓦礫に埋もれ、こちらには投げ出された下半身しか見えていない状態だ。
明確な一撃。
これならば紙一重で回避し、尚且つ一寸の隙もなく奴を叩ける。
勝てるか?
否、実はそう甘い話でもない。
「イっ――――――」
打ちこんだ等の蒔風はと言うと、そう短くいって言葉が続かない。
見ると打ち込んだ右腕はダラリと下がり、ワナワナと痛みに震えていた。
「痛ってェェェエエエエエエエ!!!??」
「じ、自分も手首痛めたゾ・・・・なんで今右手弾けたんだ!?」
骨が軋み、関節が痛む。
ゴキゴキと肘や肩を捻って解消しようとするも、治るどころかそのゴリゴリやゴキゴキで余計に痛む。
不動拳は、中国拳法で言う「寸勁」とは違う。
寸勁は大地に対する脚の踏み込みの勢いを、体内で練られた内功と共に拳から発するものだ。
対し、不動拳は脚が地についている必要がない。
理屈で言うと、学園都市第一位の力に近い。
ようは、全身から発することのできる力――パンチ一発放つ際の、踏み込みや引手、腹筋や広背筋の力と言った拳以外の動き――を、全身を伝わらせて放つ一撃だ。
修得した最初は、それこそ「動かないで出すパンチ」程度の威力だが、極めればこれ一つで普通に放つパンチ以上の威力が出せる。
だが、そう簡単なら苦労はしない。
出身世界はともかく、自身は“No name”であった唯子は死に物狂いの実験で、最初は本人も自覚してなかったが、無理矢理「鍵」で扉を開いて。
幼いころから道場で鍛錬し、不動の理を知った翼刀ですら、5歳から始めてこれを体得したのは17歳。
全身からの衝撃をまとめる――――不動の理の第二段階には、18歳。実に13年かかっているのだ。
一旦修得すればそこからの発展はいかようにもできるが、門下生のほとんどはそこに至るよりも早く諦め、鉄流道場を続けても不動拳には手を出さなくなってしまうのだ。
ともすれば、見よう見まねでやってみてできた蒔風は、それこそやはり凄まじい。
だが、やはり無茶ことは無茶だったようだ。
打ちこんだ瞬間、流し込めきれなかった衝撃は暴発し、拳正面からだけではなく上腕外腕部と、同じく腕の脇側でそれが爆ぜた。
そうなれば、手錠で繋がった響の右腕でも振り回される。
響はちょっと手首が赤くなり、皮膚が擦れた程
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