第六章 Perfect Breaker
手錠、熾烈、結末
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デタラメなパワー。
だが彼女は一瞬のうちに、スバルへとそれを投げることに成功していた。
ガシッッ!!
「そ、れは・・・・・」
ガシュガシュガシュガシュガシュゥッ!!
再び装填され、“左手から”弾き出されるカートリッジ。
「リボルバーナックル―――――!!!」
ギンガから託された、左手用のリボルバーナックル。
すでにこちらに突き出されていた右手を左手が追いかける。
その最中にカートリッジは装填され、スバルの双手が左右揃う。
ここにきて、両者とも条件は全く互角。
両者共、両拳にはリボルバーナックル。
両者共、その身に一度の振動破砕。
両者共、双手合わせて十二発。
両者共、構えるは両椀合わせて一つ。
そして両者共――――同じ血を持つ親子。
その両者にして、一つの違いと言えば―――――
「これは――――!?」
クイントの双拳。左右に揃え、構えられた両拳。
対してスバルは、掌を合わせた合掌の型。
寸分の違いも許さず、正面から衝突する両者。
突き出されたクイントの双拳は、自身の速度と相手の速度の相乗効果をまともに喰らう。
一つにされたはずの拳は、その綻びから左右へと分け裂かれていく。
左拳も、右拳も、その猛烈な唸りを上げる魔力の竜巻ですらも。一切の傷をこれ以上与えることなく素通りしていく。
双拳を引き裂いた合掌は、そのままクイントの胸へと飛び込んでいく。
そして指先がたどりついた瞬間、拳へと形状を変えていった。
叩き込まれる双手振動拳。
ドォッッッ!!!という凄まじい音がした。
―――――両者は止まる。
クイントもスバルも、そのままに。
この光景一枚だけならば、腕を広げて胸に迎え入れる母と、そこに飛び込む娘にしか見えない。
そして、先にスバルが崩れる。
膝から落ち、フッと意識を失って、他の姉妹と同様に、地面に。
それをクイントの掌が受け止めた。
そのままクイントも膝からぺたんと座り込んでしまい、膝の上にスバルの頭を置いて手を乗せた。
唯一意識の残ったギンガが、ヨロリと立ち上がって母へと語る。
それを見た者は、それを「激闘だった」と語るだろう。
それを聞いた者は、それを「死闘だ」と言うだろう。
この場を後になって訪れた者は、それを「熾烈だった」と推察するだろう。
確かに。
ここで起こった事は、それに相違ない。
しかし、その前と後。
そのわずかな時間が、こんなにも穏やかな親子の時間だと思うものは、この場にいる者を除いて誰一人としていないだろう。
ギンガ、と母は娘を呼んだ。
なに?と娘はそれに答える。
「お母さん、スバルが
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