第五章
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「必ず元通りになるからな」
「少しだけ待っていてね」
「けれど明菜の足って」
「あのお家に」
「拾っておいたの」
母がにこりと笑って呆然となっている娘達に話した。
「あの時にね」
「拾ってたって。私の足を」
「そうなの。切られた足もすぐならくっつくからね」
今は手術でそれも可能なのだ。それでだというのだ。
「だから少しだけ待っていてね」
「うん、じゃあ」
明菜は呆然としたまま母の言葉に頷く。そして。
その明菜にだ。春奈は笑顔で言うのだった。
「よかったね。足、元通りになるみたいよ」
「ええ、嘘みたいだけれど」
「じゃあすぐにね。手術してもらいましょう」
「うん。それじゃあ」
姉に笑顔で頷いてだ。明菜は手術を受けたのだった。震災は確かにかなりのものだったが揺れは一時であり火事もすぐに消された。それに震災の被害もそれ程ではなく政府の反応も当時はもう左翼政権ではなかったので迅速かつ的確だった。それでだった。
復興は早かった。明菜の足の手術も無事に成功した。だが歩ける様にはまだ時間があり。
入院している病院の庭で車椅子に乗ってだ。それを押してくれる姉に言うのだった。
「今ね。リハビリしててね」
「どんな状況なの?」
「まだ充分歩けるには時間がかかるらしいけれど」
だがだ。それでもだというのだ。
「本当にもう少ししたらね」
「歩ける様になるのね」
「お医者さんにはそう言われたわ」
こう椅子を押す春奈に話すのだった。
「だから安心していいって」
「そう。よかったわね」
「助けてくれたのはお姉ちゃんで」
明菜は笑顔で話す。
「それでくっつけてくれたのはお父さんとお母さんね」
「そうなるっていうのね」
「私。あの日のことは絶対に忘れないから」
明菜は車椅子に乗りつつ前を見ながらだ。笑顔で言うのだった。
「何があってもね」
「そうなの」
「そう。忘れられないから」
こうも言うのだった。
「私、家族の皆に助けてもらったから」
「だから忘れられないのね」
「うん。お姉ちゃん有り難う」
ここでもだ。妹は姉に感謝の言葉を述べた。
「そしてお父さんとお母さんにも伝えてね」
「有り難うっていうのね」
「うん。それにしてもお家もね」
あの全壊した家族の家もだというのだ。
「また建てられてよかったわね」
「そうね。政府の対応が早かったから」
「そのこともよかったわ。本当に大変な地震だったけれど」
明菜に至っては死ぬところだった。だが、だというのだ。
「今思うとね。ああした中だからこそね」
「大変な時だから?」
「色々なことがわかるのね。私わかっ
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