第六章 Perfect Breaker
帰郷/継承
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一方、入れ替わりで冬木市へと送られた観鈴たちは―――――
「ゼ――――」
「く・・・」
「ァアアッッ!!!」
セイバー・柳也との戦いに苦戦を強いられていた。
両手で振り上げられた剣を、真っ向から振り下ろしての突進。
その必殺の一撃を、衝撃波を発生させた翼で受ける観鈴。
駆け抜けた柳也の頭部には小石がビシビシと当てつけられるが、まったく効果を成していない。
「チクショウ・・・俺には何も出来ねぇのか・・・・」
すでにその身に残された法術の力は微々たるものだ。
それでも、今度こそはと戦いの場へと赴いた往人だがやはり力の差は覆せない。
観鈴たちが送られた場所は、冬木中央公園。
公園と言っても、見渡す限りでは広い芝生にいくつかのベンチがあるだけの広場だ。
別の場所にあるのだろうが、ここに遊具の類はない。
自身の妨害をしてくる往人は気になるはずだが、さしたる脅威とは思わなかったのか。柳也はなおも観鈴の方のみを見据えて剣を振るう。
柳也という男の剣術は、正当な剣術ではない。
今でいう傭兵を生業とし、幾つもの戦場で生き抜いてきた実力だけだ。
彼の場合は「剣術」というよりは「剣の腕」があると言った方が正しいのだろう。
しかし、だからと言って侮るなかれ。
彼が生きた時代は今とは違う。実際の命を懸けた戦いが、当たり前のように日常に溶け込んだ時代だったのだ。
道に出れば追剥に、山を歩けば獣か山賊。
あたり見渡せば戦場があり、兵どもが夢のあと。
油断が死に直結するようなその時代で生き抜いた彼の実力は高い。
中でも彼は、その腕を見込まれて神奈備命の護衛という仕事を得、そして傭兵の立場ながらも士官にまでなっているのだ。
命の随身になったのは彼女との交流があったためだったが、その他はすべて彼の実力。
セイバーのクラスとして恥じることない腕を持っているのは、間違いない。
対して、観鈴はいくらかの戦闘経験はあれどもやはり少女。
一撃に覚悟を込めるにはまだ幼く可憐だ。
実力面では、確かに観鈴の方が上位にある。
しかし、実際の戦闘となるに当たり、現状柳也の方に軍配が上がっているのだ。
「どうした!!あの呪いを退けたお前らの強さはその程度か!?」
なおも襲い掛かる彼の剣撃。
その全てを衝撃波で流し弾くが、あまりにも猛進だ。押し切られ、弾かれたところで腹に蹴りを入れられる。
バチィ!!
「うぉ!?」
「く・・・は・・・!!」
観鈴はその蹴りを、腹に発生させた衝撃波で受け止める。
弾かれた脚に驚く柳也だが、ダメージはそうないらしい。
観鈴はというと、その反動で体が後
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