第六章 Perfect Breaker
父へと送る氷華
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状態ながらも立ち上がり、クロノに向き合う。
静かにその顔を見、そして壁に突き立てられたデュランダルを見る。
「あれは」
「あの事件の後、グレアム提督とローゼロッテ、リーゼロッテがあの悲劇を二度と繰り返さないために作り上げた杖です」
「そうか・・・・しかし、これほどのことができるとは・・・・」
ビキビキと氷がだんだんとエスティア全体を覆っていく。
内部、外部に関わらず、その全てを侵食していくスピードは加速度的だ。
その中でクロノと、彼の認識している天道と弦太朗だけは氷に覆われなかった。
床はすべて凍ったが、氷は三人を持ち上げてその体を冷やすことはない。
だが、その冷気は艦内の温度を急激に冷やしていく。
吐く息は白くなり、頬と鼻の先が赤く染まる。
そのクロノ達の目の前で、クライドの身体も足元から徐々に凍り付き縛られる。
膝までそれが覆うと、バインドが解かれた。
込められた魔力が切れたのだ。
だが、今のクライドにこれ以上できることはない。
「クロノ・・・・・」
「はい」
「お前は・・・・・」
親子の会話。
天道と弦太朗は、少し下がってその様子を眺めている。
だが、それを遮る声が
《ガ・・・ザッ・・・・オノ・・・レ・・・・ェェェエエ・・・・》
「これは・・・・」
機械音声。
エスティアを乗っ取った、闇の書の闇によるものだ。
自我があるだけで驚きだが、それは明確な意思を以って殺意を向ける。
《キサマラ・・・・コレデコノ「ヤミノショ」ガオワッタトオモウナヨォォォ・・・・・》
すでに恨み言。
呪いを呟くように、その音声はそれだけ呟いて止まる。
そして瞬間、エスティア全体がガクンと揺れた。
「な・・・・」
何が起きたのかと周囲を見渡す三人。
すると通信機から声がした。
『天道!!聞こえているか!!?』
「加賀美!」
それはクラウディアへと帰還していた加賀美の物だった。
どうやら戦艦エスティアは、その動力が完全にストップしていたわけではないらしい。
艦をこの位置に停止させておくだけの動力は、まだ生きていたらしいのだ。
ここは大気圏外とはいえ、まだ地球の重力圏内。
動力無しでは、落下するだけ。
クロノはその部分だけは残していたのだが、エスティアは自らそれを切ったらしい。
「落下する!?」
「しかもこのままじゃ「EARTH」の真上じゃねーか!!」
ゴンゴン、と音を上げながら、大気圏へとゆっくり突入するエスティア。
摩擦により熱が生まれ、覆っている氷を多少溶かす。
しかし、それはすべてを溶かすには至らず、ク
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