第六章 Perfect Breaker
再砲撃、承認
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、決してそうではない。
大したことはないこの茨だが、その程度の関わりでスキルとし、そして使用するにしてはこの茨は良すぎる。
つまりこれはキャスターのスキルとしての顕現ではなく、別の存在による施行だと言うこと。
「闇の書の前所有者がいるのか――――――!?」
「正確には「闇の書に取り込まれた前所有者」だ。私が破れたとなれば、彼がすることは一つ」
ハッとして、クロノが背後を振り返る。
アルカンシェル発射スイッチのある艦長席。
そこに、ウニョウニョと動く植物のようなものが。
「くっ!!」
ストレージデバイスを振るい、その茨がスイッチに触れるよりも一瞬早く、魔力スフィアがスイッチの取り付けられた機会を土台ごと破壊する。
ゴゥン――――――
《全システム、掌握完了。アルカンシェルチャージ完了まで残り、120秒。119、118、117――――》
「なに!?」
「遅かったんだ、クロノ。もはや闇の書はこのエスティアを手中に収めた。もはやスイッチを押さなくったって、アルカンシェルの発射は可能だ」
プログラムの掌握。
つまり、スイッチによる外部からの入力がなくとも、その内部でOKサインを出すことが可能ということ。
アルカンシェルの発射だけでなく、その全てのシステムを完全に乗っ取られる。
もはや名も姿もなきキャスター。闇の書に取り込まれてしまった前所有者は、あの茨ではない。
この戦艦エスティアそのものを肉体としたサーヴァントとして存在を新たにしたのだ。
「なぜだ。なぜ最初からアルカンシェルでこの艦を沈めなかった。かつてこの艦が墜ちた原因で攻めれば、簡単に事は済んだはずだ」
サーヴァントは、伝承やその死に際の状況が致命的な弱点とされる。
故に真名を明かすことなくクラス名で呼び合い、宝具の開示も極力控える。
無論、宝具や伝承というのは英霊の座に接続され英霊をサーヴァントとして召喚する場合だが、死に様などが弱点とされるのは変わらない。
つまり、アルカンシェルによって消滅させられたこの艦はその攻撃に弱いと言うことになる。
あれから十年以上。
クロノの戦艦「クラウディア」にも、当然アルカンシェルは搭載されている。
だが、彼はそれをしなかった。
しなかったのに、合理的な理由があったわけではない。
やろうとしたが、できなかったわけでもない。
やむにやまれぬ事情など、どう考えてもどこにも存在しない。
ただ、一つだけの理由は、彼がクロノ・ハラオウンだから抱く感情。
「あなたに、見せたかった」
自分の姿を
「あなたを、知りたかった」
掠れてしまいそうな幼い記憶の中のあなたを
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