第四章
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「本当にね。御免なさい」
「いいよ。だってね」
まだ涙を流して謝る姉にだ。妹は言葉を返した。
「私の為にやってくれたのよね」
「それは」
「だからいいわ」
こう姉に言ったのだ。
「そのことはね」
「有り難う・・・・・・」
「こっちこそよ。御礼を言うのは」
妹もだ。姉と話しているうちにだ。
涙を流してだ。そのうえで笑顔で言ったのである。
「助けてくれて有り難うね」
「明菜・・・・・・」
「私、足は一本なくなったけれど」
だがそれでもだというのだ。
「命に。心は助かったから」
「心も?」
「そう。助かったっていうのかな」
少しだ。考えてからその言葉を訂正したのだった。
「凄く嬉しかったから」
「そんなになの」
「当たり前じゃない。お姉ちゃん私の為にあそこまで必死になってくれて」
そしてその必死を見たのだ。その目で。
「そのうえで足を切ったじゃない。私の足」
「あのこともなの」
「苦しかったわよね。辛かったわよね」
「ええ」
苦渋の決断だった。まさに。
しかしそれをあえてした姉にだ。妹は言ったのである。
「そこまでしてくれたのに。嬉しくなんてない筈ないし」
「そういうことなのね」
「心が。凄く嬉しいの」
足が一本なくなったことなぞだ。今の明菜には些細なことだった。
それ以上のものを貰ったからだとだ。姉に対して言うのである。
「何よりもね」
「そう。そうなのね」
姉もだ。妹のその言葉に心の底から喜びを感じた。しかしここでだ。
急に白衣の医者が来てだ。こう言ってきたのである。
「急患の人は何処ですか?」
「はい、ここです」
それまで二人を見ているだけだったお父さんとお母さんが手を挙げてその医者に応えた。
「ここにいます」
「早くお願いします」
「わかりました。ではすぐに手術にかかります」
「ここでできるんですか?」
「今この場で」
「応急の設備は全てあります」
医者は両親に笑顔で応えていた。春奈と明菜はそのやり取りを何かという顔を見ている。
「今すぐの様ですしそれなら」
「はい、じゃあお願いします」
「すぐに」
「一体どうしたの?」
医者とのやり取りをする両親にだ。春奈は少しきょとんとした顔になって問うた。
「何かあるみたいだけれど」
「ああ、今からな」
「手術をしてもらうのよ」
両親はその春奈に顔を向けて笑顔で答えた。
「今からな」
「だから少しだけ待っててね」
「手術って?」
「明菜の足の手術だよ」
「それをしてもらうの」
二人は微笑んで春奈、そして共にいる明菜に話してきた。
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