第六章 Perfect Breaker
極と暴走
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アは激痛に顔をしかめ、あとからやってきた衝撃に右肩を押されて回転して地面に落ちる。
それを見て、肩で息をして荒い息を吐く蒔風。
そして、拳を握る真人と謙吾。
「や、やった!!」
「効いたぜ!!」
「ハァッ・・・ハァッ・・・・・ハァッ・・・・・」
初めて攻撃が効いたと喜ぶ二人だが、蒔風の内心は苦々しい思いでいっぱいだった。
(仕留め――――られなかったか・・・・!!!)
(バカ・・・な!!この私が、貫かれただと!?)
一方、冗談にもできないような貫通力で穴を開けられたアライアは、久々に感じる激痛に顔を歪めて転がっていた。
(グッ・・・つ・・・し、しかし、私の完全に限界はない。このまましっかりと硬度を上げれば、いずれはあれも効かなくなる)
暴走が生む結果は、予測は出来る物の、実際には彼等も知らない。
ただ、それが破滅へと向かうことは確実だ。
しかし、そうやって追い詰められる必要などないのだ。
そもそも、強い生命力は基本スペックに組み込まれている。
だったら焦らず、少しずつでも完全の出力を上げればいいだけだ。暴走など、する必要はない。
肩口を押さえ、ヨロリと立ち上がるアライア。
痛みにまだ顔が歪むが、いずれは問題もなくなるだろう。
しかし、アライアは大きな失敗を犯していた。
硬度の完全を得て以来、彼は攻撃を喰らっても意味がなくなっていた。
簡単に言って、長らく「外部からの痛み」の経験がなかったのだ。
そこに、それを突破してきた「痛み」だ。
久々の感覚に、アライアにとっては激痛以上の物だろう。
それが彼の思考を弛緩させ、蒔風に二発目の絶光線を放たせるだけの猶予を与えてしまったのだ。
「ハァッ!!」
「デッ!?ガァッ!?」
バチィン!!と、アライアの額で何かがはじけた。
それは再び放たれた絶光尖だが、アライアの表情は痛みを耐えるべきだったのにも関わらず、それを恐れてしまったのだ。
(し、しまった・・・・・!!!)
アライアの完全は、上がり続けているとはいえまだ絶光尖を弾くまでギリギリ足りない。
しかし放たれた絶光尖。そして、弛緩した思考。
眉間に放たれたという生命の危機が本能に訴えかけ、瞬間的には彼はそれを弾く硬度まで完全を押し上げた。押し上げられるスペックにしたのだ。
そう。
押し上げて、しまったのだ。
(まず・・・暴走する・・・・・?)
ガクッ、と、膝をついてわなわなとふるえるアライア。
冷静に自分の完全を見つめ直し、そして完全にスペックが硬度の完全へと振られていることを確認した。
「あ・・・あぁ・・・・・そんな・・
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