第二十二話 東の島その六
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「仲間を集めることは決めているがな」
「それでもか」
「何も決めていない」
そう言っていい状況だというのだ。
「実際にな」
「そうか、それならな」
「それならか」
「暫く堺にいて何か仕事でもするか?」
「銭か」
「それを稼いでな」
「銭はある」
英雄は船乗りに簡潔な声で答えた。
「そして馬も驢馬もな」
「何だよ、結構持ってるんだな」
「防具もな」
「じゃあその銭やらでか」
「働かずともだ」
例えそれでもというのだ。
「食えるだけの銭はある」
「それじゃあ強く稼ぐ必要はないか」
「ない」
実際にという返事だった。
「俺はな」
「そのまま遊んで暮らす気もないよな」
「それもない」
世界を救おうとする考えは話さなかった、ここで話してもこの話も大きくなり長く複雑なものになると思ったからだ。
「別にな」
「じゃあ冒険者にでもなるか?」
「そうだな」
それならとだ、英雄は船乗りの言葉を受けて言った。
「それもいいな」
「よし、それならな」
「冒険をして仲間を探そう」
「そうして稼いで生きてる奴は東の島でも多いぜ」
「それだけ魔物が多いか」
「ああ、それ山賊とかもな」
人間の中で悪質な者達もというのだ。
「結構いるしな」
「やはりそうか」
「返り討ちにも遭うけれどな」
「そうした連中を倒して生きている奴もいるか」
「東の島にもな」
「そのこともわかった」
肴の豆を食いつつ応えた。
「そういうものか、あちらも」
「そんな物騒な状況だからな」
「平和を求めているか」
「そうなんだよ」
実際にというのだ。
「俺達もな」
「成程な」
「そしてな」
船乗りもその豆、煎り豆を食いつつ述べた。
「それが中々出来ない」
「そんな状況下」
「そういうことなんだよ」
「ややこしいものだな」
「全くだよ、けれど皆生きてるぜ」
それはしているというのだ。
「頑張ってな」
「こうして船に乗ってだな」
「商いをして田畑を耕してな」
そうしてというのだ。
「漁やらもしてな」
「そうしてか」
「生きてるぜ、まあ苦しいけれど楽しいさ」
「そうした島か」
「嫌なこともいいことも一杯あるぜ」
こうも言うのだった。
「東の島はな」
「西の島と同じか」
「まあそうだな」
否定しない返事だった。
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